IPA(情報処理推進機構)は10月11日、日米企業におけるDX動向を比較調査し、戦略・人材・技術の面からDX推進の現状や課題などを包括的に解説する「DX 白書 2021」の発刊に合わせ、オンラインで記者説明会を開催した。

人材、技術に”戦略”を新たに加えた「DX 白書」

同機構は2009年から「IT 人材白書」を、2017年から「AI 白書」をそれぞれ発行し、IT人材や新技術の動向について情報を発信している。

白書では日米企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状、推進への課題と対策などを包括的に解説することで、日本企業のDX推進を支援することを目的としている。同白書の最大の特徴は、日米企業のDX動向について比較調査を行っている点であり、DXに関して戦略・人材・技術について、アンケート調査を行い、日本企業の現状や課題を考察。

調査対象範囲、対象者は日本企業(534社)が経済産業省「情報処理実態調査」において、調査対象範囲となっている26業種(製造業、非製造業)の経営層、またはICT関連事業部門の責任者、担当者となり、米国企業(369社)は日本企業の調査先に準じ、所属している企業に対しての責任を持って回答できるマネージャークラス以上。

調査項目はDX戦略の推進状況や実施における課題・成功要因、DX推進やデジタル技術を利活用する人材の把握、デジタル技術の利活用状況や導入課題など。

冒頭、IPA 社会基盤センター イノベーション推進部 部長の古明地正俊氏は発刊の背景として「これまでは、人材やAIなど特定の切り口で情報発信していたが、昨今では企業が置かれているITとの関わり合いが変化した。効率化のためにテクノロジーを利用するのではなく、DXに代表されるように新しいビジネスモデルやサービスなどをデジタルを用いて実現していくことが非常に重要であり、経営とテクノロジーが不可分な状況となっている。一方、DXを推進する文脈の中でIPAの役割も変わり、新しい基盤の構築、人材育成、民間の状況を把握して改善していくのか、ということに対してコミットメントを求められている。こうしたことから、従来の人材、技術だけの切り口だけでなく、ビジネスで技術を活用していく人に対してDXを推進してもらうため”戦略”の視点を加えた。これは企業戦略ではなく、DX戦略やデジタル戦略だ」と話す。

IPA 社会基盤センター イノベーション推進部 部長の古明地正俊氏

IPA 社会基盤センター イノベーション推進部 部長の古明地正俊氏

同白書は、第1部が「総論」、第2部が「戦略」、第3部が「人材」、第4部が「技術」、そして付録第1部が「AI技術」、同第2部が「制度政策動向」、別紙としてDX白書2021エグゼクティブサマリー(小冊子)で構成している。