The Registerは7月1日(現地時間)、「Microsoft's free updates for Windows 10 draw criticism • The Register」において、Microsoftが6月24日(米国時間)に発表した拡張セキュリティ更新プログラム(ESU: Extended Security Update)の無料提供ではWindows 10デバイスを救えないと伝えた。

無料のESUには「個人ユーザーがWindows Backupを使用して設定をクラウドに保存する」という条件があり、この取り組みでは不十分と指摘している(参考:「Stay secure with Windows 11, Copilot+ PCs and Windows 365 before support ends for Windows 10 | Windows Experience Blog」)。

厳しい最小システム要件とESUの緩和

Windows 11をインストールするには「最小システム要件」を満たすデバイスを用意する必要がある。この要件には従来のアップグレード時にはみられなかった厳しい条件が含まれており、発表当時は多くの批判にさらされることになった。Microsoftは一部要件を回避してインストールする手順を公開するなど、批判を緩和する対応に追われた。

しかしながら昨年末、Microsoftはこの要件を譲れないと表明し、変更しないと宣言した(参考:「Microsoft「Windows 11最小システム要件は譲れない」と明言、TPM 2.0は必須のまま | TECH+(テックプラス)」)。その結果、処理速度に問題のない多くのデバイスがアップグレードの可能性を絶たれることになった。

条件付きの無料プランを発表

Microsoftはユーザーの反発に対してセキュリティの確保に必要だと訴え、Windows 11の有用性について広く情報発信を行い、ユーザーに理解を求めている。また、ESUの宣伝も積極的に行い、先日は条件付きの無料プランを発表した。

これら対応について、米国の消費者団体「公共利益調査グループ(PIRG: Public Interest Research Groups)」の「Designed to Last」キャンペーンディレクターを務めるLucas Rockett Gutterman氏は次のように述べたとされる。

「Microsoftの新しいオプション(ESUの無料提供)は十分とは言えず、Windows 11にアップグレードできない最大4億台のWindows 10 PCに影響を与えることはないでしょう」

つまり、条件付きのESU無料提供では移行できないWindows 10ユーザーの理解は得られないと指摘している。また、The Registerは法人顧客も不満を持っていると指摘。高額なESU料金を支払うにもかかわらず、Windows 11のようなサポートを受けられない条件では理解を得られないとしている。

Microsoftのさらなる姿勢の軟化に期待が集まる

The Registerは条件付きとは言え、ESUの無料提供を発表したMicrosoftに軟化の兆しが見られるとして、さらなる譲歩への期待が高まるとしている。しかしながら同時に「この特殊なチキンゲームに挑むには勇気あるユーザーが必要だろう」とも述べ、譲歩を引き出すにはWindows 10のシェアを維持する必要があると訴えている。

Microsoftの利益とユーザーの利益がぶつかり合う、我慢比べの様相を呈してきている。4億台と推定される多くの資源を無駄にせず、双方にとってWin-Winの結果につながるよう、同社には幅広いユーザーを救済できる新しい選択肢を提示することが望まれている。