名刺は「その場で取り込む」と価値が変わる
前回は、AI名刺解析プラグインを使って、PCから名刺画像を取り込み、自動入力する基本的な手順を紹介しました。
実際に使ってみると、「これは便利だ」と感じる一方で、もう一つ重要なポイントに気付きます。それは、名刺はその場で取り込んだ方が楽になるということです。
従来は、営業や展示会で大量の名刺を受け取った後、以下のような流れになりがちでした。
- 机に戻ってから整理
- 1枚ずつ入力
- 後回しになってたまる
しかし、AI名刺解析プラグインはスマートフォンと組み合わせることで、この流れそのものを変えることができます。
スマートフォンでそのまま取り込む
AI名刺解析プラグインは、PCだけでなくスマートフォンからも利用できます。これを活用すると、名刺管理のスタイルが大きく変わります。
例えば展示会であれば、
名刺交換 → その場で撮影 → すぐにデータ化
といった流れになり、後からまとめて処理する必要がなくなります。
これまでもスマートフォンで使える名刺スキャナーアプリはありましたが、あくまで名刺管理にとどまります。しかしkintoneで使えれば、単なる名刺管理ではなく、業務システムの顧客管理、営業活動などに直結したデータ活用が可能になります。
一方、スマートフォンでkintoneを使う場合、PCと同様にブラウザを使う方法と、スマートフォン専用のアプリを使う方法があります。 設定変更やkintoneで作成したアプリの作成/修正などを行う場合はブラウザで使うしかありませんが、作成済みのアプリを利用するだけであれば、スマートフォン専用kintoneアプリを使うのが便利です。本稿では、iPhoneでアプリを使った例を紹介します。
以下、前回に作成したアプリを例に、スマートフォンで名刺を取り込む手順を紹介します。スマートフォンでkintoneのアプリを開き、ログインしてください。
(1)スマートフォンのkintoneのアプリの起動画面でメニューボタンをタップする。
(2)「アプリ」をタップしてkintoneで作成したアプリの一覧を表示する。 (3)前回の記事で作成した「名刺管理」アプリをタップする。
(4)名刺管理アプリを開いたら、「+追加」をタップする。
(5)「ファイルを選択」をタップする。
レコード作成画面の下部にある「ファイルを添付」をタップしないように注意してください。「ファイルを添付」は、単に添付ファイルフィールドにファイルをアップロードするだけで、名刺解析はできません。フィールド構成については第8回を参照してください。
「ファイルを選択」をタップした後、撮影した写真をアップロードするか、直接スマートフォンで撮影するか選択できます。また、撮影後に写真を編集してからkintoneにアップロードするかそのままアップロードするか選択できます。
次の例のように、余白が大きい写真の場合は、「写真を編集」をタップして、トリミングするといいでしょう。
(6)撮影した写真を編集してからアップロードする。トリミング、回転など。
(7)撮影した写真を編集せずにアップロードする。
※撮影・編集についてはスマートフォンの機種やOSのバージョンによっても異なります。
(8)撮影した写真がアップロードされている。
(9)「名刺を解析する」をタップする。
自動解析したデータが各フィールドに保存されます。ただし、100%正しいとは限りませんので、名刺を読み取った直後でも、オフィスに戻ってからでもかまわないので、確認作業は必要になります。
(10)自動解析された社名、Fをかたどったロゴマークを社名の一部として読み取っているので修正が必要だ。
(11)読み取ったデータを新規レコードとして保存する。
撮影のコツでAI解析の精度が変わる
実際に日常的に使ってみると分かりますが、解析精度は名刺そのものだけでなく、撮影方法にも影響されます。
以下のようなポイントがあります。
- 名刺はできるだけ水平に撮る
- 影や反射を避ける
- 背景はシンプルにする
AI名刺解析プラグインはAIを使っているだけあってかなり解析性能が高く、多少傾いていても正しく読み取れることが多いのですが、撮影条件を整えることで精度は安定します。
AI名刺解析はどこまで正確なのか
AI名刺解析プラグインを使う際に気になるのが、「どこまで正確に入力されるのか」という点でしょう。実際の傾向を整理すると次のようになります。
比較的精度が高い項目
- 氏名
- 会社名
- メールアドレス
- 電話番号
補正が必要なことがある項目
- 部署名
- 役職
- 住所
- 毛筆体やデザイン書体など凝ったフォントの文字
- 伝統的書体(旧字体)や人名地名漢字
- 縦書き・横書き・斜めの文字が混在している
以上の項目は完全一致が難しい場合もあります。ただし、ゼロから入力する手間に比べれば、修正だけで済む効果は非常に大きいといえます。
名刺画像も保存しておくメリット
AI名刺解析プラグインでは、解析した結果だけでなく、名刺画像そのものもアプリに保存できます。これにより、以下のメリットがあります。
- OCRの誤りを確認できる
- 役職表記の細かいニュアンスが分かる
- ロゴや肩書きの補足情報が確認できる
つまり、「データ」と「元情報」の両方を持てるという点が強みです。
次の画面は、前回記事で作成した名刺管理アプリでレコードを開いた画面です。
(1)撮影画像も添付ファイルとして保存してある。クリックすると開くことができる。
この名刺の解析には、従来の名刺スキャンアプリと異なるAIを使った特徴が現れています。名刺には事務所名がありませんが、名刺を解析したレコードのデータには「クリエイティブスタジオ」という事務所名が自動的に入力されています。おそらく、AIならではの特徴として、メールアドレスのドメイン名からAIが推測したと思われます。
縦書き横書きが混在して、斜めになった画像でも、正確に解析していて、AI名刺解析プラグインはかなりの解析精度の高さを実感できます。
AI名刺解析の効果的な使い方
AI名刺解析プラグインは、単体でも十分に効果がありますが、以下のポイントを押さえることで、さらに実用性が高まります。
- スマートフォンでその場で取り込む
- 撮影条件を整えて精度を上げる
- 自動入力+軽い修正で運用する
- 画像とデータをセットで活用する
特別な設定や高度なスキルは必要ありません。日常業務の中で「名刺を受け取ったらすぐ取り込む」という習慣を作るだけで、効果を実感できます。
前回と今回を通して、AI名刺解析プラグインの基本から実用までを紹介しました。まずは数枚の名刺で試してみるだけでも、その便利さは十分に伝わるはずです。
その上で、さらなるステップとして、kintoneに保存したレコードをさらに他のkintoneアプリで活用したり、業務システムに元データとして取り入れたりするといったことが可能です。









