インターネット上にはさまざまな情報があふれています。有益な情報も悪質な犯罪にかかわる情報も、制限なく自由に閲覧することができます。これはインターネットの利点のひとつです。しかし、情報を見て、それを取捨選択できる大人に対して、子どもは未成熟であるが故に、判断に限界があり、有害情報に惑わされかねません。
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子どものネット利用は気になるけど、ネットもPCのこともよくわからない……。(イラスト/ヤマグチエミ) |
現在、インターネットを利用している人が国民の7割(平成19年「通信利用動向調査」より)にも達し、半分の世帯でブロードバンドによる常時接続が行われています(「インターネット白書2007」より)。
子どもの多くもインターネットに接続しています。例えば日本PTA全国協議会の2007年の調査では、子どもの半数以上がパソコンを親と共有して使っており、1週間の内でほぼ毎日利用するのは小学5年生で9%、中学2年生で22%となっています。
1回あたりの利用時間は、小学5年生の半数以上は1時間未満ですが、中学2年生になると1時間未満は36%で、1~2時間の利用者が28%に増えます。そしていずれも7割以上がネットに接続しているようです。
子どものネット利用把握は「保護者の責務」
このように多くの家庭でインターネットにつながり、子どもたちが自由にネットの情報に触れあうようになってきています。多くは学校の調べ物や友人などとのコミュニケーションなどで安全にネットを利用していると思われますが、安易に違法・有害なサイトにアクセスして影響を受けてしまう危険性は残っています。
そのため政府は、18歳未満の子どものインターネット利用を制限する、いわゆる「青少年ネット規制法」(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)を2008年6月に成立させ、1年以内の施行に向けて法律整備を進めています。
同法では、犯罪や自殺などを誘引する、わいせつな描写、殺人などの残虐な内容といった情報を「青少年有害情報」として規定し、携帯電話事業者には18歳未満の子どもに対してのフィルタリング提供義務、ISPには保護者の求めに応じたフィルタリングの提供義務などを定めています。
こうした政府による規制には、表現の自由にかかわる問題なども指摘されていますが、現時点では、青少年ネット規制法や、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」でも、民間の第三者機関が情報を認定してフィルタリングを進める方向になっています。
それに加えて規制法では、第6条で「保護者の責務」として子どものネット利用の状況を適切に把握し、フィルタリングの導入などの対策を導入し、子どもがネットを適切に使えるよう努力することを求めています。
フィルタリング方法がわからないから、子ども任せ?
そもそも、どのような情報を子どもに見せたいか、見せたくないかは、親自身が判断するべきではないでしょうか。単にフィルタリングを導入するだけでは、子どもに過剰なフィルタリングをかけてしまったり、逆に必要なフィルタリングがかけられないという場合もあり得ます。
親が管理することで、子どものリテラシー向上や成長に応じてきめ細かいフィルタリングができるようになります。
また、どういった情報が子どもにとって必要なのか、どうして親は見せたくないのか、子どもと話し合うことで家庭に即したフィルタリングができるとともに、子どもの理解も深まってリテラシー向上にも役立つでしょう。
ただ、まずは「子どもに見せたくない情報」から子どもを引き離すためにフィルタリングを導入し、その後フィルタリングの適切な設定を模索していくのがいいのではないでしょうか。
とはいえ、子どものネット利用をどのように適切に把握するか、フィルタリングの導入をどのようにすればいいか、よく分からない親御さんも多いのではないでしょうか。「フィルタリングという言葉は知っているけど、その方法はよくわからないし……」という理由で子どものネット利用に無関心を決め込んでいるのであれば、ぜひその技術を学んでください。適切なフィルタリング方法を知ったうえで、親御さんの方針に基づいた"ネット利用に関する家庭内ルール"を作ってもらえればと思います。
今回から、PCでのネット利用環境を中心として、各社から登場しているフィルタリングソフトやサービスをご紹介します。適切なフィルタリングで子どもを守り、子どもが楽しくネットを利用できるようになって欲しいと思います。