いくつかある無償の汎用生成AIチャットサービスの中でCopilot in Windowsが誇れる機能のひとつが画像を生成する機能だ。Copipot in WindowsからはDALL·E 3ベースの画像生成を行うことができる。無償で使える生成AIベースの画像生成サービスとしては最も手軽で強力なもののひとつだ。まずはこの機能を使ってみよう
連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照。
Copilotで絵を描く
Copilot in Windowsからの画像の生成は簡単だ。プロンプトで絵を書くように指示を出すだけで良い。次のスクリーンショットでは「『Copilot in Windows』を擬人化して描いてください。アニメ風でお願いします。」と指示を出している。
画像の生成には少々の時間がかかる。プロンプトの指示を出したあとは上記スクリーンショットのように画像生成中であることを示すプログレスが表示される。しばらく待っていると、次のスクリーンショットのように生成された画像が表示される。
今回、「『Copilot in Windows』を擬人化して描いてください。アニメ風でお願いします。」で生成された画像は次の2つだった。
このようにCopilot in Windowsではプロンプトから絵を描くように指示するだけで画像を生成することができる。画像の生成にはOpenAIの「DALL・E 3」が使われている。無償でこのように手軽に画像の生成を行うことができるというのは、執筆時点におけるCopilot in Windowsの大きな利点のひとつになっている。
絵もプロンプトで書き換えていく
Copilot in Windowsはプロンプトで会話を行うことで自分が欲しい情報へたどり着くことができる。これと同じように画像に関しても対話を繰り返すことでフラッシュアップすることが可能だ。
例えば先ほどはCopilot in Windowsを擬人化するように指示を出したわけだが、「Copilot(副操縦士)」という言葉の意味に引きずられてか操縦士が飛行機に乗っている光景になっていた。どちらかと言うと、「生成AI」という新しい概念がどのようなかたちで絵になるのか見てみたいので、指示を変えてみる。
上記スクリーンショットは「『Copilot in Windows』は飛行機のパイロットではなく、Windowsで使用できるようになった生成AIチャットサービスのことです。それを踏まえた上で、『Copilot in Windows』を擬人化して描いてください。アニメ風でお願いします。」と指示を出している。
すると、次のような画像が生成された。
最初の副操縦士で生成した画像のイメージが強く残っているためか、猫耳の女の子の画像が生成されている。Copilotが何をどう考えてこの画像が生成したのかは分からないのだが、このような感じで対話を続けて自分が欲しい画像に近付けていくといった使い方ができる。
Copilotが生成する絵の特徴
Copilotに使用されれているDALL·E 3が生成する画像には、いくつかの癖がある。DALL·E 3が生成する画像については以前「【連載】画像生成の未来を体験しよう! DALL·E 3の世界」にまとめてあるので、興味がある方はそちらを読んでいただければと思う。
ここでは簡単にその癖を取り上げておく。
思った画像を生成させるのは難しい
頭の中に明確なイメージがあっても、それを専門家に伝えて描いてもらうのは難しいように、Copilotに想像している画像を描いてもらうのはかなり難しい。プロンプトにどのような指示を出せば良いのかは試行錯誤するしかない。この機能は思い描いている画像を自在に生成するサービスではない。
それらしいが正確ではない
DALL·E 3は新しい想像やそれらしい画像を生成することに強みがある。しかし、それは「それらしい」のであって、「正確」ではないということを理解しておく必要がある。
次のスクリーンショットでは「スタイリッシュな高級折り畳み自転車を描いてください。折りたたむとコンパクトになるものの、前輪と後輪にはサスペンションがあり、8段シフトを搭載してください」と指示を出している。
すると、次のような画像が生成された。
パッと見ると「お、なんかかっこいいぞ」と思える。映画『ハリー・ポッター』シリーズに出てきそうな雰囲気すらある。しかしながら、画像を拡大してよく見てほしいのだが、この自転車は前に進むことができない。フレームとホイールが連結している場所があったり、チェーンも駆動系の意味をなしておらず、このペダルは踏むこともできない。それらしいだけであり、機構として正確には描画されていないし、そういった正確な描画は現在のバージョンでは行うことができない。
想像力の材料としての使い方に力を発揮
DALL·E 3の能力は自分では思いもつかないような絵を書いてもらえる点にある。想像力を広げる一助にするというのがこのツールの想定されている主な使い方のひとつだ。
次のスクリーンショットでは「200kgのベンチプレスを行っているミミズクを描いてください」と指示している。
ミミズクはフクロウ目フクロウ科の鳥であり日本にも古来から生息していることが知られている。当然、ミミズクには200kgのベンチプレスを挙げるような筋力はないし、そもそも人間のような腕はない。常識で考えると不可能な指示を出したわけだが、Copilotはこの指示に対して次のような画像を生成している。
翼の先に本来であれば足と見られる部位を前腕および手のように書き足し、ここでバーベルをバイセプスカールさせているように描いている。全体としてはミミズクが立っている様子を模しており、木の枝に止まる代わりにベンチシートに止まっている。なるほど、こう描いてきたか、という感じだ。
これはベンチシートの上で行うスタンディングでのバーベルバイセプスカールであってベンチプレスではないのだが、バーベルを使ってトレーニングをしているという「それらしさ」を全面に押し出してそれっぽくまとめている。ミミズクらしくベンチシートに止まっているというところが発想として面白いところだろうか。
このように自分であれば考えつきもしない発想やアイデアを得るのにDALL·E 3の能力は優れた経験を与えてくれる。
画像を生成してみよう
Windows搭載のパソコンを使っているのであればすでに多くのユーザーがCopilot in Windowsが使える状況になっているはずだ。まだ画像の生成を行ったことがないのであれば、Copilot in Windowsを使って画像の生成を行ってみよう。実際に業務に使うかどうかは別として、こういったことができるようになったということは体験しておきたいところだ。
付録: ショートカットキー
ショートカットキー | 内容 |
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「Windows」+「C」 | Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え |
付録: 対応バージョン
OS | バージョン |
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Windows 11 | Windows 11, version 22H2以降 |
Windows 10 | Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome |
参考
- Copilot in Windows & Other AI-Powered Features | Microsoft
- Copilot documentation | Microsoft Learn
- Adopt, extend and build Copilot experiences across the Microsoft Cloud | Microsoft Learn
- Bringing the power of AI to Windows 11 - unlocking a new era of productivity for customers and developers with Windows Copilot and Dev Home - Windows Developer Blog