NTTドコモは11月6日夜、同社が受けた不正アクセスによる顧客情報の流出について記者会見を開催した。会見では、最大29万4,839件(回線)の顧客情報が流出し、本人確認書類の番号や、一部の顧客については銀行口座情報も含まれていたことが明らかになった。

不正アクセスでは、複数のシステムが連携する仕組みを悪用し、顧客情報を機械的に検索・取得する攻撃が行われたという。

会見には、NTTドコモ 代表取締役社長の前田義晃氏、同代表取締役副社長の坪谷寿一氏、齋藤武氏の3名が登壇。顧客に謝罪するとともに、攻撃の概要や発覚後の対応経緯、再発防止に向けた取り組みなどを説明した。

最大29万4,839回線の情報が流出、銀行口座情報も対象に

会見の冒頭、前田社長は「利用者に多大なご心配をおかけしたことをお詫びする」と謝罪した。

ドコモでは11月4日、ドコモオンラインショップとMy docomoに対する外部からの不正アクセスを確認。翌5日午前1時5分ごろから、両サービスの各種手続きを停止した。その後の調査で、顧客情報の流出が判明し、11月5日には最大約30万件の情報が流出したと公表していた。

今回の会見で、流出した顧客情報は最大29万4,839件(回線)で、内訳は個人20万4,157件、法人9万682件であることが判明。

流出した情報には、氏名、生年月日、年齢、住所、電話番号、メールアドレスなどに加え、本人確認書類の番号や携帯電話番号、契約開始年月日、料金プラン、オプション、割引などの契約情報が含まれる。

また、一部の顧客については、法定代理人・手続代理人の氏名や連絡先、勤務先・法人の名称や所在地、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義、子育て応援プログラムに関する情報なども流出した。

本人確認書類については番号のみが流出した形。質疑では、番号のみでは何の書類か判明しにくいという理由で、具体的な本人確認書類への言及は避けられた。また、流出した情報は、攻撃経路などを分析している最中で暗号化されていない状態だったと説明されたほか、すでに退会した利用者の情報も含まれていることが明らかになった。

複数システムの連携を悪用、想定していなかった攻撃経路とは

今回の不正アクセスについて、ドコモは外部の攻撃者がインターネット経由で同社のシステムにアクセスし、複数のシステムが連携する仕組みを悪用したと説明した。攻撃者は顧客情報を機械的に検索・取得していたという。

坪谷副社長は、今回の攻撃について「これまでの診断経路にはない、想定しなかった組み合わせでの攻撃」と説明。API自体を直接狙った攻撃ではなく、既存の仕組みの組み合わせを突いた攻撃だったとの認識を示した。

不正アクセスを検知したのは11月4日午前10時30分ごろ。大量アクセスのアラートを受け、ドコモは同日午後2時30分に海外IPアドレスの遮断を実施した。しかし効果はなく、午後4時20分にMy docomoをメンテナンスモードに切り替えた。

その後、疑わしいIPアドレスの遮断などを進め、午後6時10分には特定の攻撃経路を遮断。アラートの停止を確認したうえで、午後8時32分にMy docomoのメンテナンスを解除した。

ところが、同日午後11時16分に再び不正アクセスの可能性を検知。翌5日午前1時5分にはMy docomoとドコモオンラインショップをメンテナンスモードに切り替え、午前2時10分に顧客情報の流出を確認した。

なお、その後の分析で、この特定の攻撃経路によって情報が詐取された可能性が高いことがわかったという。

ドコモは、今回確認された攻撃経路に加えて類似する経路も遮断し、外部から顧客情報を取得できない状態にしたと説明。

11月6日午後6時からは「ahamo」の新規受付サイトも停止した。同サイトでは不正アクセスは確認されておらず、予防的な措置としている。

ドコモオンラインショップ、My docomo、ahamo新規受付サイトについては、セキュリティを強化するためのシステム改修を実施し、安全性を確認でき次第、再開する予定だ。

対象顧客にSMSで通知、お見舞金の支払いも検討

流出対象となった個人顧客に対しては、11月6日からSMSを送付し、謝罪と事案の概要、二次被害防止に向けた注意事項を案内している。今後も複数回のSMSやダイレクトメールなどで追加の案内を実施する。

法人顧客に対しても、営業担当者やSMS、ダイレクトメールなどを通じて案内する方針だ。

個人・法人の双方を対象としたお見舞金の支払いも検討している。支払いの対象範囲や条件、金額などは未定で、詳細は別途案内するとしている。また問い合わせ先として、本件専用の特設ダイヤルも開設した。

二次被害の防止に向けては、不審なメールやSMSに記載されたURLへのアクセス、添付ファイルの開封、パスワードや暗証番号、クレジットカード情報などの入力・回答を避けるよう呼びかけている。

特に、相手が自身の個人情報を把握していても安易に信用せず、不審な連絡や身に覚えのないログイン、購入、契約などを確認した場合には、速やかに同社へ相談するよう求めている。

ドコモは今後、組織・管理体制を含めた調査・検証を進め、原因究明を強化するとともに、NTTグループ全体で再発防止を徹底する方針を示した。

同時期に発生した5G SA通信障害についても説明

会見では、11月5日に発生した5G SA(Standalone)サービスの通信障害についても説明があった。

この障害は、11月5日午前11時18分ごろから全国の5G SA契約者を対象に発生し、音声通話やデータ通信、SMSが利用しづらくなったもの。影響対象は最大約158万7,000人で、11月6日午前1時20分ごろに復旧した。

原因は、コアネットワークの保守作業を契機に、交換機の一部装置でメモリ異常が発生したこと。これに伴う処理遅延によって輻輳が生じ、通信サービスに影響したという。

障害が長期化した理由は、同時間帯に実施していた別の作業との影響の切り分けに時間を要したこと。ドコモは、メモリ異常を防ぐ暫定対処を実施済みで、追加の対策を1週間以内に完了する予定としている。

なお、今回の通信障害については、不正アクセスの形跡やサイバー攻撃を示す事象は確認されておらず、顧客情報流出とは別の事象になるという。