この半導体ニュースのまとめ
・米政府がSK hynix傘下の中国・大連工場に対する米国製半導体製造装置の輸出承認を保留したと海外メディアが報道
・大連工場の収益を原資とするSolidigmの米国NAND工場建設計画にも影響する可能性
・中国への技術流出を抑える輸出規制と米国内への半導体投資促進策の両立が課題に
米国政府が、SK hynix傘下のSolidigmが中国・大連工場に導入を計画する米国製半導体製造装置の輸出承認を保留していると、Reutersが11月3日付で報じた。事情を知る複数の関係者の話としており、韓国メディアも相次いで伝えている。
大連工場は、SK hynixがIntelからNAND事業を買収した際に取得した旧Intel Fab 68で、現在はSolidigmが運営している。中国に立地するため、米国製装置の導入には米商務省の許可が必要となる。
米国でのNAND工場建設計画に影響か
SK hynixは輸出ライセンスの申請に際し、大連工場で得る利益を米国での工場建設・運営に充てる方針を米国政府へ伝えたとされる。しかし、米商務省は現時点で新たなライセンスを承認していないという。
Solidigmは米ニューヨーク州マーシーにNAND工場2棟を建設する計画で、投資額は約450億ドル、将来的には約1000億ドル規模へ拡大する可能性も報じられている。
関係者によると、大連工場向け装置の輸出許可は、米国での工場建設に向けた前提条件の1つだという。大連工場の生産計画に影響が生じれば、その収益を原資とする米国投資にも波及する可能性がある。
米国の半導体製造投資に対する投資税額控除制度が2026年末に期限を迎えることも、計画の不透明感を強めている。ただし、協議は継続中で、工場建設の中止が決まったわけではない。
中国工場への適用除外を撤廃
米国政府は対中半導体輸出規制の開始当初、SK hynixやSamsung Electronicsなどの中国工場に対し、個別許可なしで米国製装置を搬入できる適用除外措置を設けていた。
しかし、米商務省は2025年に同措置を撤廃し、年間ライセンス制度へ移行した。既存設備の維持に必要な装置・技術輸出は認める一方、生産能力の拡張や技術高度化を目的とするライセンスは発給しない方針を示している。
これに対しSK hynixは、今回の設備導入は既存クリーンルームの空きスペースを利用するもので、生産能力の拡張には当たらないとの立場を示しているという。
米商務省との交渉を継続
韓国メディアによると、Solidigmの経営陣は2026年8月末以降、米商務省と10回近く協議を重ねてきた。
しかし、直近の協議でも米商務省側は、生産能力の拡大や施設改善に必要な装置の追加搬入を認めない立場を維持したという。2027年に予定する大連工場の新棟稼働に必要な装置についても交渉が続いているとされる。
焦点は、装置が既存設備の維持に使われるのか、生産能力の拡張や製造技術の高度化に使われるのかという点だ。SK hynixにとっては、大連工場の競争力を維持しながら、米国投資を進められる条件を引き出せるかが重要となる。
Samsungは西安工場を更新へ
Samsungは、中国・西安工場で3D NANDをV8シリーズからV9シリーズへ移行する計画を進めている模様で、2026年末までにV9シリーズの生産規模を月産5000枚、2027年12月までに同4万枚へ引き上げることを目指しているという。
同社は顧客需要に対応する設備更新であり、規制対象となる能力拡張や新工場建設ではないと米国当局へ説明しているとされる。ただし、米国当局が認めた装置の範囲は公表されておらず、SamsungとSK hynixで対応が異なると断定することはできない。
今回の問題は、中国への技術流出を抑える輸出規制と、海外半導体メーカーによる米国投資を促す政策を、米国政府がどう両立させるかという課題を示すものと言える。