この半導体ニュースのまとめ

・Samsungは中国・西安工場の3D NANDを200層から286層へ高層化する計画と報道
・SK hynixは中国・大連工場で最大240層品の生産認可を受け、300層超の技術開発も検討
・AI向けNAND需要とYMTCとの競争が強まる一方、米国の輸出規制が設備更新の制約に

AI需要がDRAMのみならずNANDにも拡大する中、Samsung Electronics(サムスン)とSK hynixが中国の自社工場で製造している3D NANDの高層化を推進しているとReutersをはじめとして複数の海外メディアが報じている。

両社の計画に詳しい関係者の話では、Samsungは西安工場の3D NANDを200層から286層に高層化する計画であり、SK hynixは、大連工場(子会社Solidigmの工場)ですでに最大240層の3D NANDの生産認可を受け、300層以上の技術に関する研究開発について米国の承認を求める可能性があるという。

中国は韓国勢2社にとって、NANDの主要生産拠点であり、半導体市場調査会社TrendForceによると、SamsungのNAND生産量全体の約30~35%、SK hynixの40~45%を担っているという。

両社がアップグレードを急ぐ背景には、高いAI需要への対応とともに中国のNANDメーカーYMTC(長江存儲科技)との競争激化がある。Reutersによると、YMTCの主力製品は160層と232層だが、すでに294層品も少量生産しており、300層を超える製品の開発も計画しているという。

  • Samsung、SK hynix、YMTCの3D NAND高層化一覧表

    Samsung、SK hynix、YMTCの3D NAND高層化一覧表 (Reutersなどの各種メディア情報に基づきTrendForceが作成)

米国の輸出規制で複雑化する外資系中国半導体工場のアップグレード

韓国企業の中国工場の装置アップグレードには、米国の輸出規制が障害となってきた。米国は2022年に中国に対する半導体製造装置の輸出規制を開始。以降、米国製半導体製造装置を中国拠点に搬入するには、米国政府の許可が必要となったが、米商務省産業安全保障局(BIS)は2025年、中国にある外資系半導体メーカーの工場について、技術の高度化や生産能力拡大に向けた許可を出す意向はないと表明するなど、韓国勢にとって、中国事業への投資は難しいかじ取りとなっている。こうした停滞がYMTCにシェアを奪われる一因となっており、韓国2社の幹部も、地政学的緊張が中国事業に悪影響を及ぼしていると公言している。

両社は米国政府と緊密に連携する形で設備更新を進めていることを認めつつも、詳細な計画については明らかにしていないため、アップグレードの装置について米国当局がどこまで輸出許可を出しているかは不明である。関係筋の話としては、両社は中国で200層以上のNAND生産を可能にし、韓国の生産基準に技術を近づけようとしているという。

韓国では300層超えの製品生産を加速

なお、Samsungは、韓国国内でV-NANDの生産能力の約60%をV9(286層)に移行し、NVIDIAへの出荷量を増やすとともに、V10 NAND(約400層)の量産と供給を開始したほか、約500層を目指す次世代V11の開発も進めているという。また、関係者によると、西安工場のアップグレードを米国の規制に準拠した形で進めており、2026年12月に月産5000枚、2027年12月までに同4万枚へ引き上げることを目指しているという。

一方のSK hynixは、韓国内で321層NANDへの移行を進めており、2026年第2四半期に同社最大のNAND生産セグメントとなった模様である。2026年末までに韓国内NAND生産能力の約半分が321層製品に移行するとともに、375層製品の量産に向けた準備を進めているという。