このロボット関連ニュースのまとめ

・エプソンが同社初の人協働ロボット「AX6-A901S」の受注を開始
・Pythonとブロックプログラミングに対応し、ロボット導入時の教育負担を軽減
・小型コントローラーはAGVやAMRへ搭載でき、搬送と作業の自動化を支援

セイコーエプソン(エプソン)は10月29日、同社初の人協働ロボット「AX6-A901S」と小型コントローラ「RC-A101」の受注を、エプソンジャパンを通じて開始した。

AX6-A901Sは、2025年6月に開発を発表した人協働ロボットを製品化したもの。最大可搬質量は6kg、アーム長は900mmで、標準価格はオープンプライスとしている。

製造業に加え、医薬品・医療機器、食品、研究機関などにおいて、人手不足や熟練作業者の減少、高い作業品質と再現性の確保といった課題へ対応する。

  • エプソン初の人協働ロボットAX6-A901S

    エプソン初の人協働ロボット「AX6-A901S」。最大可搬質量6kg、アーム長900mmで、製造現場のほか、研究施設、医薬品・医療機器、食品分野などでの利用を想定する (出所:セイコーエプソン)

人と作業空間を共有するロボットシステムに対応

AX6-A901Sは、エプソンが産業用ロボットで培ってきた技術を生かし、人との協働作業を前提とした設計を採用。適切なリスクアセスメントと安全対策を実施することにより、人とロボットが作業空間を共有するシステムの構築へ対応するという。

従来の産業用ロボットによる自動化では、安全柵を含む専用スペースの確保や、作業工程に合わせた設備設計が必要になる場合があったが、人協働ロボットを活用することで、人による作業をすべて置き換えるだけでなく、人とロボットが役割を分担する工程も構築しやすくするという。

Pythonとブロックプログラミングに対応

ロボットのプログラミングには、汎用プログラミング言語の「Python」を採用することで、既存のPython開発資産や、ソフトウェアエンジニアが持つ知見をロボットシステムの構築へ利用できるようにした。

また、画面上に表示されるブロックを組み合わせ、ロボットの動作プログラムを作成する「ブロックプログラミング」にも対応。ロボット専用言語を習得していない担当者でも、視覚的に処理の流れを確認しながらプログラムを作成できるようにし、導入時の教育や開発に伴う負担を軽減する開発環境だという。

Pythonとブロックプログラミングを用途や担当者の習熟度に応じて使い分けることで、研究開発での試行錯誤から、製造現場における自動化システムの構築・運用までを支援する考えだ。

凹凸を抑えて清掃しやすい外観を採用

AX6-A901Sは、ロボット表面の凹凸を抑えた滑らかな外観デザインを採用した。

製造現場ではロボットの動作性能に加え、使用環境に応じた清掃や衛生管理も必要となる。特に医薬品・医療機器や食品の製造では、異物混入や汚染を防ぐための対応が求められる。滑らかで清掃しやすい構造とすることで、研究施設や医薬品・医療機器、食品製造現場などといった清掃性が重視される環境での導入も可能とした。

小型コントローラをAGVやAMRへ搭載

AX6-A901Sと組み合わせる小型コントローラ「RC-A101」は、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)への搭載に対応。協働ロボットを固定された場所で使用するだけでなく、AGVやAMRによって移動させることで、部品や試料の搬送と、取り出し・投入・配置などのロボット作業を組み合わせることを可能とする。

例えば、AMRが複数の装置や作業場所を巡回し、搭載したAX6-A901Sが各場所で異なる作業を行うといった自動化システムを構築できるようになる。固定式のロボットを工程ごとに配置する構成と比べて、1台のロボットを複数工程で利用するなど、設備構成や生産内容に応じた運用にもつなげられる。

ロボットメーカーとユーザーの両面から導入を支援

なお、エプソンはこれまで、時計製造を起点として自社開発のロボットを自社工場で活用してきたノウハウがある。そのため、ロボットメーカーであると同時に、生産現場でロボットを利用するユーザーでもある経験を生かすことが可能であり、ロボット本体やコントローラだけでなく、開発環境、導入支援、サポートまでを提供することを可能としている。

同社は現在、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」のもと、「省・小・精」の技術と思想を基盤に、人とロボットの協働による生産性向上と省人化を支援する方針を掲げており、今回、従来のスカラロボットや垂直多関節ロボットに加え、AX6-A901Sを人協働ロボットのラインアップへと追加することで、製造業から研究、医薬品・医療機器、食品まで、自動化の対象領域を広げていくとしている。