セールスフォース・ジャパンは、日本の150名を含む20カ国2,025名の意思決定者を対象とした調査「企業におけるエージェント型AI最新事情」の日本語版を公開した。AIエージェントの本番導入率は日本が32%、グローバルが30%とほぼ同水準だが、成果の出方には差が表れている。

日本企業は平均7カ月でROIを達成、顧客満足度も33.9%向上

ROIの達成までに要した期間は日本が平均7カ月で、グローバルの8カ月を上回った。日本の導入企業では顧客満足度が平均33.9%向上し、問題解決時間は33.8%短縮、運用コストは33.9%削減されたという。

ただし、これらの数値は回答者の自己申告に基づく点には留意したい。

全データの統合より、用途に必要なデータの信頼性が重要

成果を分けた要因として注目されるのは、導入前の準備の中身である。意外なことに、全社のデータを完全に統合することは、成功のための必須の要件ではないという。グローバルで導入前にデータを統合していた企業は31%にとどまる。

日本の企業が成功要因として重視したのは、必要なときに信頼できるデータへアクセスできること(44%)と、共通のIDおよび権限モデル(42%)だった。

既存の業務フローへの組み込みがAIエージェントの活用を後押し

業務への組み込みも課題だ。日本の企業が利用する業務アプリケーションは平均53個に上るが、AIがネイティブに組み込まれているアプリは44%にすぎない。

その一方で、AIエージェント導入企業の98%は、単独のツールよりも主要な業務フローに組み込む方が大きな価値を生むと回答している。

導入速度と安全性を両立する段階的なガバナンス整備

ガバナンスをめぐる結果も示唆に富んでいる。グローバルでは、ガバナンス体制が限定的な企業のROI達成が7.2カ月だったのに対し、体制が充実した企業はROI達成に9.3カ月を要していた。

とはいえ、ガバナンス体制が平均を下回る企業の32%は、AIエージェントの想定外の動作を重大な問題の発生後に初めて把握したという状況で、やはり強固なガバナンス体制やエスカレーションの仕組みの構築は必須の取り組みとなる。

日本の導入企業は導入前に平均2.5個、導入後に3.8個のガバナンス施策を整え、それでもグローバルより早く成果を出している。スピードと統制をどう両立させるかが、AIエージェント導入の成否を左右するといえそうだ。