リブ・コンサルティング代表取締役・ 関 厳の 「お客様の現場に足を運ぶ〝伴走支援型〟のコンサルで顧客の成長を実現したい」

大企業・中堅・ベンチャーからバランスよく収益を上げる唯一のコンサルティング会社がある。2025年12月に東証グロースに上場したリブ・コンサルティングだ。代表取締役の関厳氏は「AI時代に突入し、大企業をはじめ、中堅・中小企業やベンチャー企業もAIの導入や開発に積極的だ」と語る。大手コンサルティングファームが手掛けない中堅やベンチャーを顧客に抱え、その顧客と寄り添うビジネスモデルで成長を図っている。

 創業当初は苦戦からスタート

 ─ まずは起業の経緯から聞かせてください。

 関 東京大学を卒業し、大手の経営コンサルティング会社に入社しました。もともと30歳を機に起業を考えていたのですが、コンサルタントの仕事が面白くて33歳まで在籍しました。

 ─ それが2012年でしたね。当時は極端な円高の局面にありましたね。

 関 はい。東日本大震災の影響もあって1㌦が78円から80円で推移しており、六重苦と言われて製造業が不振だったときになります。世の中の雰囲気もあまり良くはなかったので、起業した当初は、しばらく苦しい時期が続いていましたね。

 ─ 社名の「リブ」にはどんな意味があるのですか。

 関 「Life is Beautiful.」の頭文字の「LiB(リブ)」からとりました。その意味は「人生を素晴らしく美しいものにしていく」です。ただ、この言葉には2つの側面があります。

 1つは当社のコンサルティングビジネスは、一緒に仕事する方が中小企業の経営者や大企業の事業責任者といった方々になります。

 人生における仕事の比率が一般的な社員よりも高く、仕事を通じて自己実現をするといった志を持っている方々なので、そういったクライアント企業の方々と仕事を通じて人生を素晴らしく、美しいものにして欲しいというのが1つです。

 もう1つは当社のコンサルタントにとっても、そうであって欲しいという思いがあります。コンサルタントの仕事は大変です。そうであるならば、自分がサポートしたい企業さんとやりがいのある仕事ができ、それによってキャリアが開けていく。

 そういった内外の両方にとって人生を素晴らしいものにして欲しいという意味も込めています。

 ─ 当時からクライアントは中小企業が多かったのですか。

 関 当社の場合、どちらかというと地方の「中堅企業」と呼ばれるような企業が多かったですね。関東圏のみならず、全国各地で地元のオーナー経営者による優良企業といったケースです。

 昔で言うと、東証2部に上場している会社もありました。それと都心部で資金調達して急成長しているベンチャー企業です。こういった企業は既存のファームがあまり狙わなかった領域なんです。

 ─ 順調でしたか。

 関 いいえ、案件は全く取れませんでした。当時の景気が悪かった上に、そもそも中堅やベンチャーにコンサルティング会社を使うという概念がありませんでしたからね。

 ですから、しばらくは私が営業に回り、少しでもコンサルの意義を理解してもらおうと、お客様が短期で結果が分かるプロジェクトを進めました。実際にお客様からは、そういった意向があったからです。

 例えば、セールスやマーケティングといった数字に成果が表れやすいプロジェクトを頼まれました。しかも契約期間は3カ月と、あまりにも短い。ですから、成果を出すにも苦労しました。ただ、その中でも「騙されたと思って契約します」と言って、長期契約を結んでくれたお客様がいたんです。

 10年近く契約が継続している

 ─ そこで成果を出した?

 関 ええ。半年で成果を出すことができました。お客様の現場に入り込んで、その会社の何がボトルネックなのかを調べ、その解決策を提示したんです。しかし、我々が解決策を伝えただけでは何も変わりません。

 その会社の社員が動かなければならないからです。そこで我々も週の初めはお客様のもとに通い詰め、「こういう狙いに向けて、こんな動き方に変えてみませんか」と提案していきました。

 場合によっては、現場の社員からは「そんなことを言われても現業が忙しい」と言われることもあります。その場合は我々自身が、クライアントと一緒に顧客企業に回りました。

 他にも営業やマーケティングなどで実際に手を動かして手伝うといったことです。ですから「現場伴走」のようなイメージになりますね。

 ─ 今でこそ伴走型という言葉は聞かれますが、当時では珍しいですね。成功した事例で印象深いものはありますか。

 関 例えば売り上げを2年間で、約1・8倍にしたケースがありました。お客様は北関東で事業を展開している総合住宅不動産業の会社さんで、もともとの売り上げが約60億円だったのが、約110億円にまで成長することができました。

 ─ そこでは、どのようなコンサルをしたのですか。

 関 様々な取り組みをさせていただいた中で最も大きかったのは、優秀な営業社員の仕事の仕方を全営業社員に広げたことです。

 上位10%の優秀な営業社員の動き方や1週間の時間の使い方、商談場面や接客場面での振舞い、追客(一度接点を持った見込み客に継続的にアプローチする営業活動)などを見える化し、それを他の全営業社員に伝えました。

社員研修

 顧客の現場に足を運ぶ”伴走支援型”のコンサルティングが強み(社員研修の様子)

 さらにお客様の数自体を増やすためにデジタルを活用した発信力を強めていきました。地方の会社ですから、どうしてもデジタルに弱かったのです。インターネットなどを活用し、自社の魅力をまとめて、外部にどんどん発信していきました。

 すると、次第にお客様が増え、契約率も上がっていきました。契約率が上がるときは粗利率も上がりやすいので、収益面にもプラス効果が出たわけです。

 売り上げのみならず、利益も相当伸びました。この会社さんは私が起業してから約半年後に契約したのですが、未だに取引を継続させていただいています。業績もずっと伸び続けていますからね。契約が継続される背景には、1つの領域で結果が出たら、次のテーマでの課題解決を提案し続けたことです。

 現場に絡むコンサルタント

 ─ 顧客となっている企業も成長すれば成長するほど、課題も次々と出てきますからね。

 関 ええ。お陰様でその会社とは10年近く取引が続いています。ですから、初めは短期のテーマで取り組んでうまくいけば、次は1~2年単位での契約へと変わっていきます。テーマも例えば新規事業を立ち上げる、グループとしての経営戦略を考えるといった中長期的な戦略を支援する内容になるのです。

 ─ 現在、社員は約400人とのことですが、関さん自身は「現場を大事にするコンサルティング」をスローガンに掲げていますが、この中身とは。

 関 そもそもコンサルティングとはクライアントが期待する成果を出さないといけません。そうすると、クライアントの現場もしっかり理解していないと成果を出すことはできないと思うのです。

 もともとコンサルティングという概念は50~60年前に日本に上陸しました。当時の日本企業には働く人がたくさんいましたが、新しいことを考えたり、それを企画したりする能力のある人材が少なかったのです。

 ですから、外資系のコンサルファームが海外からやってきて、新しい戦略や事業の情報を日本企業に伝えていきました。しかし今は状況が違います。私が創業したときでさえ、もう人手不足の時代に突入していました。

 ですから、新しい作戦を立てたところで、皆が忙しいから「新しい作戦を立てられても、そもそも自分たちの仕事は忙しい」ということで何も変わらないという課題が生まれていたのです。

 ─ コンサル業界でも、そういった課題認識があったと。  

 関 はい。コンサルタント自らが現場に絡みながら、現場で働く人がやりやすく、負担にならないようなことから逆算して戦略を描かなければならなくなりました。そういった観点からも、より現場主義の重要度が上がってきていると思います。

 ─ その中で毎年約20%の成長率で売上高を増やしています。しかも、クライアントが大企業・中堅企業・ベンチャー企業と、バランスがとれた形になっていますね。

 関 大企業、中堅企業、ベンチャー企業の3つから一定以上の売り上げを上げている唯一のコンサル会社だと自負しています。さらに中でも大手企業とベンチャー企業の領域が伸びており、中堅・中小企業も2ケタ以上の伸びを続けています。

 また、クライアントの業界としては、ITが最も多く、その次に自動車関連の製造業から販売業といった領域です。やはり日本の産業の裾野として大きい領域になりますからね。あとは住宅・不動産業や建設業もありますし、金融でも銀行や損害保険・生命保険などがあります。

 急増するAIニーズと人手不足

 ─ 今後の成長戦略の方向性を聞かせてください。

 関 やはり短中期としては既存のコンサルニーズに加えて、AI導入ニーズが加わってきます。ですから、IT業界でも通信やシステムが大きく伸びていますし、スタートアップのIT系の案件も増えています。

 中でもSaaS(必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア)系やAI系のベンチャーが伸びていますので、我々が入ると、もっと成長できると思います。

 ただ、伸びている会社は常に人が足りなくなってしまう。これは人が採用できないという意味ではなく、事業が前年比で大きく伸びた分、必要な社員数も今年は100人だったのが、来年は180人になるというケースが出てきているのです。

 一気に80人を採用することは難しい。そうすると、その部分をコンサルタントが補わないと事業が進まなくなるわけです。

 ─ 関さんから見て優秀なコンサルとは、どのようなタイプの人材になりますか。

 関 一番大事な要素は、お客様にとっての成果が出るというところにこだわっていく姿勢です。そこにとことん追求していく人だと思います。一般的な捉え方で言うと、どうしてもコンサルタントと聞くと「頭が良い人」というイメージが強いと思うのです。

 しかし、頭が良い人というのは、どちらかというと自己完結してしまう人が多い。ですから、こういう要素やあのような要素が大事だから、お客様にそれをやってもらいましたが、結果が出なかった。

 しかし、自分なりにはきちんと物事を整理して100点の提案を出したから、これで結果が出なかったのは、お客様の側に原因があるのではないかという発想になってしまいがちなのです。

 お客様に原因を求めるのではなく、むしろ結果が出ていないのは、別の要素が足りなかったのではないかと。

 あるいは、提案した要素がお客様の側にうまく落とし込めていなかったのかもしれない。そういった追求を深掘りすることができる人でないと、優秀なコンサルタントとは言えないのではないでしょうか。  

 ─ それこそ伴走ができる人材ということですね。

 関 はい、お客様が動いてくれないのであれば、お客様が実行しやすい形まで落とし込み、必要であれば私たちも現場に入り、一緒に成果をつくる。その姿勢が大切です。ですから、お客様と伴走しながら相手を動かすくらいの熱量を持った人材がコンサルに適しているように思いますね。

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