プログラボ(ProgLab)は7月末から、オリジナルのロボットコンテスト「プログラボカップ」の予選を全国で開始した。8月9日に東京都大田区で開催された東東京大会では、小学生たちがロボットを何度も試走させ、思い通りに動かなければプログラムを修正し、またコースへ――。全国大会への切符をかけ、試行錯誤を繰り返す子どもたちの姿を追った。
プログラボは、レゴ(R)ブロックなどを使ったロボット製作とプログラミングを通じて、子どもたちの「夢を実現するチカラ」を育むことを目的とした、幼児・小学生・中学生向けのロボットプログラミング教室だ。阪急阪神ホールディングスグループのミマモルメと読売テレビ放送が共同で運営する「プログラボ教育事業運営委員会」が展開している。
東京メトロは「プログラボ教育事業運営委員会」とフランチャイズ契約を結び、2018年から東京メトロ沿線を中心に、子ども向けロボットプログラミング教室「東京メトロ×プログラボ」を展開している。さらに2024年12月には「東京メトロエデュケーショナル」を設立。プログラボが理念に掲げる「未来を担う子ども達の『夢を実現するチカラ』を育む」の実現を目指し、「東京メトロ×プログラボ」の教室を運営してきた。8月9日の東東京大会も、東京メトロエデュケーショナルが運営を行っている。
全国大会を目指して――「プログラボカップ」とは
「プログラボカップ」は、ロボットプログラミング教室に通う子どもたちが、日頃の学習成果を試す大会として開催されるものだ。各地で開催される予選の上位チームは、2026年9月22日に梅田サウスホール(大阪市)で開催される全国大会に出場できる。
「プログラボカップ」では、SDGsの中でも特に自然環境をテーマとした競技に取り組み、技術を学びながら他者と協働することで、創造力や課題解決力を養うことを目標としている。
「プログラボカップ」の競技種目は、「ベーシック」「ミドル」「ハイミドル」「クリエイション」の4つ。8月9日の東東京大会では、このうちベーシックとハイミドルの競技が行われた。
ロボットで“食品ロス”に挑戦、84チームが試行錯誤
ベーシック競技のテーマは「食品ロス」だ。食品ロスとは、本来はまだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食べ物のこと。競技では、ロボットによって廃棄予定の野菜を回収し、家庭でおいしく食べられる形で届けることを目標とする。
ベーシック競技のミッションは、コース上に置かれたカレールーのオブジェクトと、トマトまたはだいこんのオブジェクトのいずれか1つを「お家エリア」に届けること。両方を完全にお家エリアへ入れると、さらにボーナスポイントが加算される。
コース上にはロボットの進路を妨げるブロック壁が2カ所設置されており、これらを移動させずにミッションを達成することでもポイントを獲得できる。さらに、ミッションを終えたロボットがフィニッシュエリアに戻るとポイントが加算されるほか、フィニッシュまでのタイムも計測され、得点に反映される。
ベーシック競技は午前と午後に分けて行われ、合計84チームが参加した。
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ベーシック競技のコース。左下にスタートエリア、中央上にフィニッシュエリア、右上にお家エリアが設けられている。フィニッシュエリアの左側にはブロック壁とトマトのオブジェクト、中央下にはブロック壁とだいこんのオブジェクト、右下にはカレールーのオブジェクトが配置されている。左下の3つの写真は各オブジェクト(左からトマト、だいこん、カレー)
当日にはサプライズルールも発表された。残ったトマトとだいこんのオブジェクトのいずれかをフィニッシュエリアに運ぶと、追加ポイントを獲得できるというものだ。
競技は2回行われ、得点が高かった回の結果が採用される。本番前には、それぞれ40分と20分の調整時間が設けられた。
参加者はこの時間を使って競技コースでロボットを試走させ、思い通りに動作しなければ席に戻ってPCでプログラムを修正する。そして再びコースで走らせる。この作業を何度も繰り返しながら、プログラムやロボットを本番に向けて調整していく。
なお、取材を受けた生徒の教室では、マウスコンピューター製のPCを使用している。
ランダムな配置にも対応――「未来の発電」に挑む
ハイミドル競技のテーマは「未来の発電」。電気は私たちの生活に欠かせない一方、資源には限りがあり、必要なときに必要な量を発電することは難しい。未来の社会を支える効率的な発電システムを目指し、ロボットやAIを使って電気に関するさまざまな課題を解決する。競技では、大きく2つのミッションに挑戦する。
1つ目は、スタート時にロボットに搭載した3つのエネルギーキューブを、コース上に4カ所設けられた発電エリアへ1個ずつ置いていくというものだ。さらに当日は、4カ所の中から抽選で3カ所が発電エリアとして選ばれた。
2つ目は、コース内に置かれた2つのリソースユニットを再生施設まで移動させるミッションだ。
ベーシック競技と同様、ブロック壁を移動させずにミッションを遂行するとポイントが加算される。また、カーボンブロックを黒線に接触しない位置へ移動させることでもポイントを獲得できる。
さらに、ミッション終了後にロボットがフィニッシュエリアへ入っているとポイントが加算されるほか、フィニッシュまでのタイムも計測され、結果に反映される。
ハイミドル競技も午前と午後に分けて実施され、合計60チームが参加した。
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ハイミドル競技のコース。右上がスタートエリア、左下がフィニッシュエリア。中央が黒、周囲が赤になっている部分が発電エリアで、当日は4カ所の中から抽選で3カ所が発電エリアとして選ばれ、中央が黄色、周囲が白になっている2カ所が再生施設で、その手前にリソースユニットが置かれている。左下の3つの写真は各オブジェクト(左から発電システム、リソースユニット、カーボンブロック)
「たくさん失敗しよう」――挑戦することの大切さ
全競技終了後には成績上位チームが発表され、東京メトロエデュケーショナルの事業部長、花木氏が次のように大会を総括した。
「プログラボでは、『たくさん失敗しよう』ということを大切にしています。どうしてうまくいかなかったんだろう、次はどうしたらいいんだろうとチームメイトと一緒に作り直し、時には先生に相談する。そうした経験を通して、これまでできなかったことができるようになってきたのではないでしょうか。
大会では、うまくいったこと、いかなかったことがたくさんあると思います。その全部をこれからの力にしてください。プログラボでは、楽しく学ぶこと、好きなことを見つけることを大切にしています。
子どもたちが楽しみながら学び、失敗しても何度も挑戦し、その中から自分の好きなことを見つけていく。そうした一つ一つの経験が、自分がやりたいことや夢を見つけたときに、自分の力で実現していくことにつながっていくと考えています。この大会も大切な経験の一つです」
競技終了後、ハイミドル競技に参加した目黒教室の「最強目黒チーム2」チームの小学5年生に大会の感想を聞いた。
「ロボットがかっこいい」と思ったことをきっかけにプログラボに通い始め、すでに約5年。プログラミングで一番楽しいのは、自分が作ったプログラム通りにロボットが動いたときだという。
今回、苦戦したのは、搭載したエネルギーキューブを1つずつ落とす仕組みだった。思い通りに動かない一方、走行中にキューブが落ちないようバーで固定するなど、ロボットの構造にも工夫を凝らした。
なお、東東京大会の結果、ベーシック競技では84チーム中11チーム、ハイミドル競技では60チーム中4チームが、9月に開催される全国大会への出場を決めた。



