LINEヤフーは8月28日、2026年4月に提供開始したAIエージェントの新ブランド「Agent i」の新機能および、自社社員がアイデアを具現化した新サービスのプロトタイプを公開した。

  • LINEヤフー 上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢光伸氏

    LINEヤフー 上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢光伸氏

独自データを武器にAgent iの領域を27から数万規模へ

新機能説明会の冒頭、LINEヤフー 上級執行役員 AI Agent統括SBUリードの葭沢光伸氏がAIエージェント戦略と優位点を紹介した。

LINEヤフーは2025年度をAIエージェント化の本格始動の年と位置付け、全サービスでAIエージェント化を推進している。2026年4月には、その新ブランドとして「Agent i」を開始した。

Agent iの特徴として葭沢氏は(質問に)答えるだけのAIではなく、ユーザーの意図を読み取り、タスクを実行する「働くAIエージェントパートナー」を目指すと説明。直観的なUIと、LINEヤフーが持つ独自データを活用した情報提供に加え、複雑なタスクの実行を支援できる点が特徴だ。

ここでポイントとなるのが、ユーザーとの接点となるAgent iの下で動く領域エージェントだ。“お買い物”や“天気”、“ファッション”など、ここには30年に及び蓄積してきたLINEヤフーの独自データが組み込まれており、たとえば「クルマ選び」ならば車に特化したバーティカルコンテンツや、口コミ・レビューといった独自データ・アセットが入っているのが特徴となる。

領域エージェントの数は4月の時点では7領域だったのに対し、8月には27領域に拡大。すでに1,200万DAU(複数サービスにおける利用者数を合算した延べ利用者数)の利用が行われている。

LINEヤフーは2026年10月までに領域エージェントを累計40エージェントへ拡大するとともに、Agent iを独立した単独アプリとして10月にリリース予定。タスク機能を本格的に拡充するという。領域エージェントは将来的に、数万規模に広げる想定だ。

  • Agent iの元で動く領域エージェントの質と量がポイントで、将来的には数万規模を目指す。達成には開発速度を速める必要がある

    Agent iの元で動く領域エージェントの質と量がポイントで、将来的には数万規模を目指す。達成には開発速度を速める必要がある

  • 4月の時点では7領域だったが、これがすでに27領域に拡大。ユーザーの利用も1,200万DAUとなった

    4月の時点では7領域だったが、これがすでに27領域に拡大。ユーザーの利用も1,200万DAUとなった

  • 領域エージェントは10月までに40とし、独立したAgent iアプリもリリース予定。領域エージェント作成の全社横断TFで10倍規模へ

    領域エージェントは10月までに40とし、独立したAgent iアプリもリリース予定。領域エージェント作成の全社横断TFで10倍規模へ

AI駆動の少人数チームでプロトタイプ開発を高速化

LINEヤフー CPOの慎ジュンホ氏は、機能・領域エージェントの量産に対する取り組みを紹介した。

  • LINEヤフー CPOの慎ジュンホ氏

    LINEヤフー CPOの慎ジュンホ氏

領域エージェントの規模拡大にあたり、量産の高速化は欠かせない。量産化における取り組みポイントは、アイディアを素早く形にして評価する点にある。新サービスの企画が会議で承認されても、それが本当に良いサービスになるかどうかは、プロトタイプを作ってみなければわからない。

従来は企画チームが企画を考え、それを元にデザインチームがUIなどを設計し、開発チームが実装するというプロセスを経ていたので、プロトタイプの稼働には最短でも3カ月の時間を要していた。

これを少人数のチームでアイデアを出し合い、AIコーディングで実装し、レビューやフィードバックを行うサイクルに変えることで、高速にプロトタイプを作れると慎氏は説明した。この方法でのプロトタイプ制作期間は1.5カ月と従来の半分以下だ。

  • Agent iの領域エージェント開発スピードは従来体制から、AI駆動型開発で2倍以上に

    Agent iの領域エージェント開発スピードは従来体制から、AI駆動型開発で2倍以上に

効率を上げた分、開発チームの人数を減らすのではなく、より多くのアイディアをプロトタイプ化することが、質の高い領域エージェントを増やすための取り組みだと慎氏は語る。

  • AIを中心として少人数のチームで短期間に開発サイクルを回す。これにより同じ人数体制でも多くのチームが構成される

    AIを中心として少人数のチームで短期間に開発サイクルを回す。これにより同じ人数体制でも多くのチームが構成される

AIコーディングを活用することで、バグなど本番環境での問題が増える可能性もあるかと思うが、慎氏によると今回紹介されたAI駆動型の高速な開発手法はプロトタイプ作成に活用するもので、本番環境向けの開発は別途行うそうだ。

このAI駆動型の開発体制については、すでに「Agent iプロトタイプタスクフォース」として取り組んでいたが、これを全社横断のタスクフォースとして9月1日から本格稼働させる。会場ではまだ未リリースのプロトタイプが8つ登場していた。正式版ではどのように改善されているか楽しみだ。

  • 9月より慎氏がTF長となり、全社横断でのAgent iプロトタイプ作成を行う

    9月より慎氏がTF長となり、全社横断でのAgent iプロトタイプ作成を行う