苦境の国内線でJALとANAが協調 羽田―岡山間でダイヤ調整を実施

5分差を1時間差へ

「利益が出にくいシーズンということもあり、(政府支援がなければ)実質赤字だった」─。こう語るのは日本航空(JAL)副社長の斎藤祐二氏。同社の2026年4―6月期決算での国内線事業は依然として苦戦する。

 航空業界ではコロナ禍以降、単価の高いビジネス需要がコロナ禍前の9割程度で推移。「テレワークの常態化などが進み、需要がコロナ禍前に回復する見込みはない」(関係者)。その状況はANAホールディングスも同じ。しかも、中東情勢に伴う急激な燃油市況の高騰や円安基調が両社の収益を揺さぶる。

 これまで熾烈な競争を繰り広げてきた両社だが、今は前述した環境に加えて、人手不足という産業界共通の課題もある。そのため、「業務連携や共通化など、業界全体での効率化を進めていく」(全日本空輸社長の平澤寿一氏)という局面にある。

 そこで競争から協調するフェーズへと変わりつつある。グランドハンドリング(地上支援)業務では、地方空港を中心にJALとANAで資格を相互承認する取り組みを進めており、国内75空港での搭乗ゲートや保安検査システムの統一化などでコストの削減を急ぐ。

 さらに踏み込んだのがダイヤ調整だ。10月下旬から羽田―岡山線の一部便で近い時間帯の両社の便の間隔を今より長くすることにした。例えば、5分しか差がない夜の便では1時間の差をつけるなどし、同区間の移動手段で約7割のシェアを誇る新幹線に対抗していく考えだ。

 ある専門家は「公共交通機関である航空機路線が撤退すれば、地方創生にも影響が及ぶことを政府も懸念したのだろう」と指摘。航空会社のダイヤは、もともと利用者の多い時間帯に各社の便が偏る一方、競争関係にある航空会社間でのダイヤ調整は独占禁止法との関係で実施できなかった。そのため、「利便性の向上や新たな需要の掘り起こしに対する壁になっていた」(同)。

 今後は両社による便の調整や共同運航も検討するという。国際線では機内サービスや運賃で競争が継続されるが、国内線では手を結ぶ局面が増えそうだ。

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