この半導体ニュースのまとめ

・GoogleがOpenSUSI初の特別賛助会員として活動に参加
・オープンEDAとNDAフリーPDKを活用できる半導体設計環境の普及を推進
・AIやLLMを活用した設計手法の開発と国内半導体設計人材の育成を加速

2024年にオープンソース半導体設計エコシステムの推進母体としてAIST Solutionsにより設立され、オープンソースの半導体設計環境を整備し、産業界や教育機関が利用しやすい設計基盤の構築と、AIを活用した半導体設計人材の育成に取り組んできた一般社団法人「OpenSUSI(オープンスシ)」は8月7日、Google Asia Pacificが特別賛助会員として参加したことを発表した。OpenSUSIにとって、Googleが初の特別賛助会員となる。

商用EDAとPDKの制約を解消

半導体設計には、回路設計や検証、配置配線に用いるEDAツールと、製造工程の設計ルールやデバイス特性をまとめたプロセスデザインキット(PDK)が欠かせない。

一方、商用EDAツールにはライセンス上の制約があり、ファウンドリのPDKも通常は秘密保持契約(NDA)の対象となる。このため、教育機関や個人開発者、スタートアップが設計環境を利用したり、設計データや教材を共有したりする際の障壁となっていた。

OpenSUSIは、オープンソースEDAとNDAフリーのPDKを利用できる環境を整備することで、所属や事業規模を問わず半導体設計に挑戦できる環境の構築を目指している。

MPWとFirstTapeoutで実チップの製造まで支援

OpenSUSIは、東海理化の1μmプロセス「TR-1um」を活用した「OpenSUSI-MPWシャトルサービス」を提供している。

MPW(Multi Project Wafer)は、複数の設計者が作成した異なる半導体チップを1枚のウェハにまとめて製造する仕組み(シャトルサービス)。製造費用を分担できるため、教育や研究開発用途でも実際のチップを試作しやすくなる。

人材育成事業「FirstTapeout」では、高専生や大学生、若手技術者などがオープンソースEDAとオープンPDKを用いて半導体を設計し、MPWを通じて実際のチップを製造する機会を提供しており、設計からテープアウト、製造、評価までを経験できる環境を通じ、実践的な半導体設計人材を育成することを目指している。

GoogleのOpen Source Siliconの知見を活用

Googleは2020年から、オープンソースEDAとオープンPDKを活用する「Open Source Silicon」の取り組みを進めている。オープンソースの半導体設計自動化ツール群「OpenROAD」をはじめとする技術開発や、設計したチップを無償で製造できる仕組みの整備を支援してきた。

OpenSUSIは、Googleが培ってきたオープンEDAの技術資産と、国内のファウンドリ、大学、高専、企業、行政とのネットワークを組み合わせ、日本におけるオープンソース半導体設計エコシステムの拡大を目指す。さらに、AIやLLMを用いた回路記述や検証項目の作成、設計上の問題点の抽出といった新たな設計手法の開発にも取り組み、エンジニアの生産性向上につなげる考えだ。

なお、OpenSUSIは、国内の半導体設計分野が、設計人材の減少と新たな技術へ挑戦する機会の縮小という課題に直面していると指摘する。Googleの参加を契機に、設計環境と教材を共有できるオープンなコミュニティを拡大し、半導体設計人材の育成と新たな技術チャレンジが継続的に生まれる環境を整備していくとしている。