クレディセゾンは7月1日、「AI活用による業務改善プロジェクト」の中間ミーティングを開催した。同プロジェクト」は、経験豊富なベテラン層の知見や判断基準を可視化し、生成AIなどを活用しながら業務改善につなげる取り組み。

4月17日にキックオフが行われ、4月27日から対象者10人への個別ヒアリングを開始、今回行われた中間ミーティングでは、これまでの取り組みを振り返り、今後3カ月で各参加者の業務改善とAI活用を前に進めるための示唆を得ることを目的に実施された。

  • 中間ミーティングの様子

    中間ミーティングの様子

業務改善プロジェクトでは『AIを使わない』という判断も重要な成果

最初に、今回のゴールとして「他の参加者の取り組みから自身の業務に生かせるヒントを得ること」「プログラム全体の進行や現状を理解すること」「今後3カ月で求められる取り組みや姿勢を把握すること」が紹介された。

加えて、自身の業務の中で、属人化、可視化、AI活用の余地を再確認し、9月までに取り組む方向性を具体的にイメージできる状態を目指す。

今回のAI活用による業務改善プロジェクトでは、まず「業務の可視化」を重視しているのだという。

AIを使うかどうかを先に決めるのではなく、業務手順や判断基準を洗い出し、どの業務がAI活用に適しているか、あるいはAIではなく「RPA」「既存ツール」「ルール整備」「マニュアル化」「人の手」で対応するべきなのではないかを見極めることが重要で、「『AIを使わない』という判断も重要な成果」であることが説明された。

  • 「業務の可視化」のイメージ

    「業務の可視化」のイメージ

50回以上の個別ヒアリングで業務改善テーマを整理

同プロジェクトでは4月から6月まで、業務の現状と課題の可視化を目的に事務局主導で個別ヒアリングを実施。すでに全体で50回以上の個別ミーティングを実施し、業務の棚卸しと選定業務の可視化が完了しているという。

ヒアリングを通じて見えてきた方向性の分類は、以下の5つだ。

  • 業務詳細マニュアルの作成:属人化している手順を言語化し、詳細なマニュアル作成につなげる
  • 生成AIの業務実装:AI実装ポイントを特定し、合意形成を経てTo-Beプロセスを整理
  • 部門業務改革:BPRや運用ルール変更、新規ツール導入などを含む
  • 業務プロセスを社内に横展開する取り組み:ベテラン社員のAI活用ノウハウを可視化
  • 簡易的な業務効率化:Excel集計の自動化やマクロ再構築など、生成AI以外も含む

分類別の出現回数としては、業務詳細マニュアルの作成が4件、生成AIの業務実装が8件、部門業務改革が4件、AI活用ノウハウの横展開が3件、簡易的な業務効率化が5件、合計24件だったそうで、特に生成AIをはじめとした業務効率化の活用余地が多く見えていることが共有された。

  • 分類別の出現回数

    分類別の出現回数

AIを使う場面・使わない場面をどう見極めるか

続いて、プロセシング企画部で事業部内のコンプライアンス推進を担当している夏苅氏と同プロジェクト 事務局の工藤氏が事例を紹介した。

AIは「考える時間をつくるパートナー」

夏苅氏は、法令対応、業務マニュアル管理による業務品質・統制強化、コンプライアンス教育や情報発信による意識浸透、事故防止や再発防止の推進を担当している。

同氏は「マニュアルの内容を整えるだけでなく、メンバーが守るべきルールを自分事として捉えられるようにすることが重要」だと説明した。

  • AI活用について説明する夏苅氏

    AI活用について説明する夏苅氏

夏苅氏はAIを使う場面を見極めており、「やったことのない仕事」「どう進めるか整理しきれない時」「自分の引き出し以外の観点がほしい時」にはAIを使用する一方で、「アイデアが出揃った時」「整理済みのルーチン業務」などではAIを使用していないという。

「AIは『考える時間をつくるパートナー』として活用しています。AIに頼りすぎず、自分の判断や経験をベースに使い分けることを意識しています」(夏苅氏)

同氏は、コンプライアンスをテーマにした全体会向け発信で、テーマ決めから資料作成までAIを利用している。具体的には、AIに資料作成をそのまま任せるのではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」を明確にし、過去の具体例も盛り込みながら、ChatGPTで考えを整理し、NotebookLMで資料化し、最後は本人やチームメンバーが確認・修正する。

今後は、個人が持つ対応ノウハウを組織で再利用できる形にする取り組みとして、問い合わせ対応の回答を収集し、データベース化した上で、将来的にはよくある問い合わせに対してAIが回答案を出す仕組みを検討しているという。

  • AIを活用する場面を見極めている

    AIを活用する場面を見極めている

業務フロー可視化と暗黙知抽出を支援するカスタムGPT

工藤氏は、事務局側で準備している2つのカスタムGPTを紹介した。

1つ目は「As-Is業務フロー可視化GPT」。業務ヒアリングシートをもとに、業務の流れ、登場人物、システム、作業ステップを可視化し、判断基準が感覚に依存している箇所や、マクロ代替手段の検討が必要な箇所など、AIが課題や改善点を提示するものだ。

  • 「As-Is業務フロー可視化GPT」のイメージ

    「As-Is業務フロー可視化GPT」のイメージ

2つ目は「暗黙知抽出用対話型GPT」。マニュアル作成を目的に、事前に一般的な業務知識やテンプレートを読み込ませ、回答内容に応じて深掘り質問を行い、勘どころや確認ポイント、失敗しやすい点を抽出する。最終的には、空欄のマニュアルテンプレートに回答内容を反映し、マニュアルとして活用できる形で出力することができるという。

  • 「暗黙知抽出用対話型GPT」のイメージ

    「暗黙知抽出用対話型GPT」のイメージ

「AI化」ではなく、業務の標準化と再現性を重視

ミーティング後半では、グループワークも実施された。参加者は、学びや気づき、業務整理、AI活用可能性について意見交換を行い、後半で各グループの代表者が全体に共有する構成である。ワークでは、属人化を単に否定的に捉えるのではなく、ベテラン社員だからこそ実現できている判断や工夫として整理し、今後の業務改善やAI活用にどうつなげるかが話し合われた。

  • グループワークの様子

    グループワークの様子

今回の中間ミーティングでは、ベテラン社員の経験や判断を可視化し、AIを業務に組み込むための前提整理が進んだことが確認された。7月から9月にかけて、ベテラン社員主体でAI活用や業務改善を進め、成果物の作成とブラッシュアップに移っていく。