【共同化を通じてリソースをノンコアからコアへ】地域金融機関の「リスク対応の共同化」を支援するPwC Japan有限責任監査法人

日本が人口減少や少子高齢化、地方経済の縮小といった課題に直面するなか、地域金融機関の役割はこれまで以上に重要性を増している。こうした状況を打破し、新たな成長の道筋を描くためには、既存の枠組みにとらわれない革新的な取り組みが不可欠である。

 今回ご紹介する「専門的な知見のデジタル資産化」と「金融機関の共同化」は、まさにその一例と言えるだろう。複数の金融機関が知見やノウハウをデジタル資産として共有し、ノンコア業務の効率化やコスト削減を図ることで、各行が本来注力すべき地域貢献や産業活性化にリソースを再配分できる環境が整いつつある。

 このような取り組みは、地域金融機関の競争力強化のみならず、日本再生や地域創生の大きな礎となるはずである。

ノンコア業務は共同化し、地方創生に寄与するコア業務に集中してもらう――。PwC Japan有限責任監査法人が7月1日付で「金融業務共同化支援室」を設置する。同室は地域金融機関のサイバー攻撃や内部監査などのノンコア業務を共同化することでコストを削減し、融資などのコア業務に専念してもらう役割を担う。その理由と狙いとは?

人的リソース不足に直面

「専門的な知見を”デジタル資産化”し、複数の金融機関が共同でデジタル資産を利用することでノンコア業務のコストを削減し、各行がリソースをコア業務に再配分できる環境の構築を目指す」――。

 こう力を込めるのはPwC Japan有限責任監査法人ブローダーアシュアランスサービス(BAS)戦略本部ディレクターの木下敬規氏である。

PwC Japan有限責任監査法人/BAS戦略本部ディレクター 木下敬規氏

 同法人は地域金融機関の地域金融力強化のため、マネーローンダリング(資金洗浄)・サイバー攻撃対応、サードパーティリスク管理、内部監査の共同化の受け皿となるサービスを検討する組織「金融業務共同化支援室」を7月1日付で設置する。

 中東情勢の不透明感が増す中、国内は人口減少・少子高齢化などの環境変化に直面。特に地方ではその影響が甚大だ。地方創生が声高に叫ばれる中で、地域経済を支える地域金融の重要性は、これまで以上に増している。

 木下氏は地域金融機関を巡る環境を次のように分析する。

「地域金融機関は人・モノ・金・情報などのリソース不足により、高度化・複雑化する規制やセキュリティ要件への対応に追われ、本業である地域貢献に注力できていない。この問題は質的・量的な人的リソース不足に起因する」。

 実際に地域金融機関との対話を通じて、彼らが抱える深刻なリソース不足を痛感した。

 デジタル社会の到来で高度なマネロンやサイバー攻撃は増加の一途を辿っている。それは自社と契約関係にある取引先・委託先・クラウド事業者など第三者の不備や事故が原因で発生するケースもある。マネロンやサイバーセキュリティ対策には、常にアップデートが必要な高度な専門知識が求められるが、地方での人材確保は困難だ。

 また、専門知識は属人化しやすく、キーマンが1人辞めるだけでガバナンスが揺らぐ脆弱性も抱えており、知見がすぐに陳腐化するリスクもある。このため、金融機関は「無駄も覚悟で」リソースを割かざるを得ない。

 加えて、必達目標やノルマなどに端を発した不正防止の観点から、企業内の独立した組織が自社の業務活動を客観的に評価し、改善提案を行う内部監査も求められている。

 これらの課題にどう対処すべきか――。

 

 木下氏は「1行が単独で対処できるものではない」と指摘した上で、「各行で対応策を講じるのではなく、各行の取り組みを束ねてスケールメリットを生み出し、全体のコストを削減すべきだ」と提言する。

 これは2025年12月に金融庁が発表した「地域金融力強化プラン」で「複数の金融機関による、内部監査の共同化のための方策の検討や、システムの合理化・持続化等のための共同利用の推進」と記載されている。

 その共同化に率先して取り組むのがPwC Japan有限責任監査法人。同法人には多数の専門人材が在籍している。具体的にどのような人材なのか。

 1つ目が都市銀行や地方銀行の出身者、金融庁勤務経験者といった金融サービスの専門性を有する人材である。2つ目はマネロンやサイバーセキュリティ、サードパーティリスクなどの非財務リスクの専門性を有している人材である。3つ目がデジタル社会に必要なデジタルリテラシーを有し、かつ、時代に合わせてリテラシーをアップデートできる人材だ。

 その中でも木下氏が強調するのは「AIなどの最先端のデジタル技術に対応し、可能な限りスピーディーに、より良い技術や知見をデジタル資産化すること」だ。デジタル資産化した知見やノウハウは共同化に参画する組織間で共有し、そのコストを分担する形になる。

 その結果、同法人が各行にサービスを提供する方式に比べ、コスト削減につながる。「デジタル資産化が私たちの1つの使命と自負している」と同氏。

九州で開催されたフォーラム

 というのも、既に強い引き合いがあるからだ。3月18日、九州の地域金融機関の2線、3線の担当役員や部長を対象とした共同化フォーラムを開催。参加者からは共同化サービス導入時の費用や回収の可能性などが議論されたが、何よりも画期的だったのは、普段であればライバル関係にある地域金融機関の担当者が十数行にも声をかけて参加を促したという点だ。

「従前まで金融機関同士がつながるケースは資本関係や共通のシステムを使っている場合しかなかった。しかし、今回の共同化では地域や危機感といった、これまでとは違う軸でつながった。今後は新たな軸で地域をまたいだ”サークル”を広げていける」とメガバンク出身でもある木下氏は手応えを語る。

 そんな木下氏は「究極の姿は地域金融機関がノンコア業務を全て外出しできる環境整備だ」と力を込める。地域の産業を活性化させることこそが地域金融機関のあるべき姿。その使命を全うしてもらうためにもPwC Japan有限責任監査法人の役割は重要になってくる。

PwC Japan有限責任監査法人

(左より)

綾部 泰二 パートナー 上席執行役員

木下 敬規 ディレクター

辻田 弘志 パートナー 執行役員

駒井 昌宏 パートナー 上席執行役員

竹内 秀輝 パートナー 執行役員