フィジカルAIで設備点検の自動化を目指す
NTT東日本、NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、NTTデータグループの4社(以下、NTTグループ)、富士通グループの1Finity、三菱ケミカルは6月1日、岡山県の水島臨海工業地帯(水島コンビナート)において、IOWN APNと60GHz帯無線LAN(WiGig)を組み合わせた大容量・低遅延通信環境を構築し、フィジカルAI技術を活用した設備点検の高度化に関する検証を実施したと発表した。
NTTグループ、1Finity、三菱ケミカルは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、IOWN Global Forum(IOWN GF)の活動に参画している。
これまで3者は、IOWN GFパートナー企業と連携し、ロボットを遠隔操作して設備点検を代行する「Remote Controlled Robotic Inspection(遠隔操作型ロボット点検)」ユースケースのリファレンス実装モデルの開発を進めてきた。
今回の検証では、コンビナートにおける点検作業の負担軽減を目的として、自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用した屋外設備点検の高度化に取り組んだ。
水島コンビナートと東京を700kmで接続
検証では、三菱ケミカル岡山事業所とNTTグループの東京都内ビル間約700kmを、IOWN APNとWiGigを組み合わせた大容量・低遅延通信環境で接続した。
また、端末主導動的サイトダイバーシティ制御技術を採用。WiGig装置を搭載したロボットが移動する際に最適なアクセスポイントを瞬時に選択・切り替えることで、通信を維持しながら継続的に走行できる環境を整備した。
ロボットは150m四方を自律走行
この通信環境の下で、東京都内ビルにいるオペレーターが岡山事業所に設置された四足歩行ロボットを遠隔操作したところ、ロボットは人の補助を受けることなく150m×150mの外周を一周できた。また、通信が遮断された場合には安全に停止することも確認したという。
さらに、四足歩行ロボットはセンサーのみで地図を生成しながら自己位置を把握し、障害物を回避しつつ外周を自律走行できることも確認した。四輪駆動ロボットについても同様に自律走行できることが確認された。
また、ロボットが取得した映像データを岡山事業所から東京都内ビルへIOWN APN経由で送信した結果、ロボット走行中でも映像遅延時間は目標としていた500ms以内を達成したという。
AIで異常検知、デジタルツインに即時反映
検証では、四足歩行ロボットに搭載した非接触カメラとマイクを用いて映像データと音響データを取得し、AIで解析することで設備の異常を検知できることも確認した。
さらに、自律型の四輪駆動ロボットを150m×150mの外周で走行させ、3D空間マップを生成してデジタルツイン環境の基礎を構築した。
ロボットが取得した高精細なストリーミング映像は、IOWN APNを介して東京都内ビルへ送信され、画像認識AIによる解析結果をデジタルツイン環境へ反映した。その結果、コンクリートのひび割れ情報をデジタルツイン上にリアルタイムで可視化でき、対象箇所の画像から詳細な状態を確認できたという。
また、映像データ取得からAI解析、デジタルツイン環境への反映までの一連の処理は500ms以下で実現し、映像伝送時のパケット損失率も0.1%以下という高い安定性を確認したとしている。

