日銀が利上げを見送り 中東情勢混迷で景気悪化を懸念

利上げに慎重な高市政権との間合いは?

 

「景気については、特に大きな調整局面がくるリスクを意識して見ていく」─。日本銀行総裁の植田和男氏はこう話す。 

 2026年4月28日、日銀は金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に据え置くことを決めた。ただ、審議委員の高田創氏、田村直樹氏、中川順子氏は1.0%への利上げをすべきという意見を出して反対。意見が分かれる形となった。 

 以前は、この4月会合での1%への利上げが市場のコンセンサスとなっており、日銀もそこに向けてデータの公表など様々な準備を進めていた。だが、そのシナリオを狂わせたのが米国・イスラエルによるイラン攻撃。石油やナフサなどの物資確保への懸念もあり、企業にとっては先行きの見通しが立てづらい状況。 

 そこに利上げがあると、企業活動が萎縮するのではないかという懸念がある。高市政権は「責任ある積極財政」、「危機管理投資」で企業の積極的な投資を促そうとしており、その流れに水を差す恐れもあった。高市政権が利上げに慎重だということは衆目の一致するところ。 

 ただ、4月末現在、1ドル=160円前後という円安が続き、輸入物価は高止まりを続けている。さらに中東情勢を受けて全体的にモノの価格が上がる中、インフレの進行も懸念される。 

 次の焦点は6月の金融政策決定会合。今回、3人の審議委員が金利据え置きに反対し、総裁の植田氏も物価の上振れリスクを意識した発言をしており、市場の中に日銀が利上げ方向で政策を考えていることを意識させている。 

 だが、最近の金融政策決定会合後には必ず「ビハインド・ザ・カーブ」(政策が後手に回る)への懸念が市場から示されている。政権に配慮している間に政策が後手に回る懸念はないか。日銀の難しい判断が問われる。