UTグループは5月14日、2026年3月期通期の連結決算を発表した。今回の発表によると、売上高は前期比0.8%増の1668億円、営業利益は前年同期比で46.3%増の106億円の増収増益となった。

単価改善と販管費抑制で営業利益46%増

UTグループは5月14日、2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結決算を発表した。

それによると、売上高は前期比0.8%増の1668億円、売上総利益は前期比5.4%増の319億円、営業利益は前期比46.3%増の106億円の増収増益となった。

また、1株あたりの4Q配当が2.6円予想から4円となり、1.4円の増配となった。

  • 2026年3月期の通期サマリー(出典:UTグループ)

    2026年3月期の通期サマリー(出典:UTグループ)

  • 期末配当予想を修正(出典:UTグループ)

    期末配当予想を修正(出典:UTグループ)

営業利益が46.3%と大幅に増益になった理由として、UTグループ 代表取締役社長 外村学氏は、収益性の改善施策が大きく進展したことを挙げた。

具体的には、株式報酬費用は12億円を織り込んでいたが、引当額の精査により約7億円の原価計上により売上総利益が5億上振れしたことに加え、販売管理費が下振れ(募集費:3億円、人件費:3億円)したことが要因だという。

2026年3月期 連結決算概要業績ハイライトとしては、技術社員数は伸び悩んだものの、稼働時間の増加と単価改善により売上は増加し、人員配置、稼働の最適化により売上総利益率が改善したという。

また、組織統合などによる人件費の減少、効率的な採用による募集費の減少等の販売管理費の抑制により営業利益率も改善したという。

非効率採用を見直し、人材紹介事業を本格化

2026年3月期の成果として、外村氏は派遣事業の効率性の追求と人材紹介事業への本格参入を挙げた。

派遣事業の効率性の追求では、人的資本投資を開始しながらも大幅増益を実現したという。具体的には、前期に実施した非効率な採用手法を廃止し、採用単価を鑑み、募集費をコントロールした。

そのほか、単価交渉、高単価案件への異動戦略に注力し、売上総利益のアップにつながったという。

人材紹介事業への本格参入では、社内体制を整備し、営業活動を本格化した点があるという。具体的には、自動車業界向けの期間従業員紹介を加速したほか、半導体業界向けにはNext UT(派遣から正社員転籍)を強化した。

また、地方ではアライアンス紹介数を大きく拡大したという。その結果、紹介成約数は前期比で44%アップになったという。

  • 2026年3月期の成果(出典:UTグループ)

    2026年3月期の成果(出典:UTグループ)

外国人活用や人材紹介強化で成長狙う

2027年3月期の注力施策としては、単価交渉・欠員管理・募集費コントロールの徹底により収益性を向上させ、増収を目指すという。

人材派遣では、給与アップ・条件の良い職場への異動促進を行うという。具体的には、需要は均衡状態が継続するため、マクロ影響は軽微だと見込んでいるが注視が必要だという。

また、単価・条件の引上げに注力し、高単価案件への異動促進を図り、募集費コントロールを継続しつつ、社員数を純増するという。さらに、採用が困難な地域・業種における外国人活用を拡大するという。

人材紹介では、自社の案件以外のデータを持つようになったため、このマッチングをどう高めていくかがポイントで、それによって人材紹介料のアップを狙っていくという。

そのほか、社員への利益還元では、2026年6月に初回の株式交付を実施し、会員向けアプリ開発を行う。具体的には、2026年7月に社外向け求人アプリをローンチし、2027年1月に社内アプリと統合しアップデートを行うという。

  • 2027年3月期の注力施策(出典:UTグループ)

    2027年3月期の注力施策(出典:UTグループ)

AI普及でも『製造人材不足は続く』

外村氏は決算発表において、AIが与える製造派遣事業への影響について触れた。AIが与える製造派遣事業への影響について同氏は「AIの普及により仕事がなくなるのではないかといった懸念があるが、われわれは急激な影響は感じていない」と述べた。

その上で、2040年には、製造業の現場人材は256万人不足すると予想され、全産業・職種間でもっとも不足が予想されているとした。

「当社はモーター、エナジー、セミコンをメインとしているが、モーターは比較的モデルチェンジが多く、セミコンは細かな作業で人手が必要になるところが残るで、中計ではAIの影響はそこまで大きくないと思っている」(外村氏)

  • AIが与える製造派遣事業への影響(出典:UTグループ)

    AIが与える製造派遣事業への影響(出典:UTグループ)

国内製造業の設備投資動向

国内製造業の設備投資動向については、半導体を中心に、JASM、Rapidus、Micron、キオクシアが大規模な設備投資を行うため、量産体制に向け動き始めるというところがあり、それに同社が追随できるのかというステージになってきているという。

  • 国内製造業の設備投資動向(出典:UTグループ)

    国内製造業の設備投資動向(出典:UTグループ)

2027年3月期通期連結業績予想

2027年3月期通期連結業績は、売上高は半導体関連における派遣需要の拡大により増収の計画で、株式報酬費用計上額が10億以上増加想定のため売上総利益率が低下する見込みだという。

販売管理費は、増員のための募集費増加や、「貯まるワーク」のプロモーション費用等の一時的な費用を織り込み、増加を想定しているという。

その結果、売上高は前期比1.9%増の1,700億円、売上総利益は前期比1億円増の320億円、営業利益は前期比5.8%減の100億円、経常利益は前期比7.7%減の100億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比14.3%減の61億円を予想している。

なお、2027年3月期 配当予想は、10.23円を予定しているという。

  • 2027年3月期通期連結業績予想(出典:UTグループ)

    2027年3月期通期連結業績予想(出典:UTグループ)