
小宮山宏さんの課題解決
課題は常に存在する。その課題の解決に向かって、どう構想力を高めるかということで、『社会課題解決先進国』の先進モデルをつくろうと活動しておられるのが小宮山宏さん(三菱総合研究所理事長・元東京大学総長)。
小宮山さんは、課題解決のための一般社団法人『プラチナ構想ネットワーク』を立ち上げておられる。同法人はこのほど、2050年に総エネルギー需要の80%以上を再生エネルギーで賄う─というビジョンを公表。
現在15%のエネルギー自給率をぐんと向上させるビジョンだが、「すべて現状の技術で解決可能であり、ビジョンは決して夢ではない」と小宮山さんは語る。
生成AI(人工知能)の登場、データセンターの建設ラッシュで電力需要はウナギ上り。2050年の電力需要は1兆9990億キロワットへと2023年の2倍以上となる。
今は、石油など化石燃料を使う給湯器や暖房器具などの中低温度の蒸気製造はヒートポンプに置き換えて電化を進める。また自動車もEV(電気自動車)化を推進し、化石燃料依存を減らすというビジョンである。
EVは、米政権の政策転換で今は苦境にある。ホンダなどはEV不振で生産中止に追い込まれている。こうした苦境にあって、一方で中国はEV先進国になりつつある。日本は電動化競争に後れを取っており、この課題解決もそれこそ〝日本の課題〟である。
エネルギー自給率の向上だけではなく、食料の自給向上も日本にとって重要課題。
「日本にとって、結局は国内の再エネしかないんです。この再エネができると。日本のエネルギー需要の8割を賄えるということを具体的な数字で示したのが僕らのビジョンです」と小宮山さん。
ホルムズ海峡封鎖は、中東に石油需要の9割を依存している日本の脆弱性を示した。イラン情勢は日本にとって、全く他人事ではないということ。食料にしても、自給率は38%と先進国でも一番低い数字。
戦後80年余、自分の足で立つことも怠り、余りにも他国依存型になっていたことも反省しつつ、自立(自律)の道を探りながら、他国との共存・共生へ向かう解決策を構築する時だと思う。