米Amazonが、低軌道衛星を活用した衛星通信に関する取り組みを立て続けに発表している。米国時間4月13日、衛星インターネット「Amazon Leo」用ギガビット対応アンテナの民間航空会社への導入を明らかにし、翌14日には衛星通信大手の米Globalstar買収や、iPhoneなどApple製品への衛星サービス提供に関する契約締結も公表した。

  • Amazon Leo Aviation Antennaのイメージ

    Amazon Leo Aviation Antennaのイメージ

  • Amazon LeoとGlobalstarのロゴ

    Amazon LeoとGlobalstarのロゴ

Amazon Leo Aviation Antennaの特徴

Amazon Leoは、かつて「Project Kuiper」と呼称されていたプロジェクトで、2026年の提供開始をめざして低軌道衛星の配備が進んでいる。

「Amazon Leo Aviation Antenna」は、民間航空会社の航空機に搭載して使われることを想定して開発した、Amazon Leo用のアンテナ。全二重フェーズドアレイ技術を採用することで、下り最大1Gbps、上り最大400 Mbpsの通信速度を実現するとしている。またアンテナ1基で機内のエンターテイメントシステムから乗務員の業務までをサポートする。

アンテナのサイズは147×76×6.6cm。高さを抑えた流線型の低プロファイルデザインとすることで、空気抵抗や燃料消費への影響を最小限に抑えており、航空機の電源システムから電源を取って内部システムと通信する仕組み。設置は1日でできるとアピールしている。メンテナンスによるダウンタイムを抑えるために可動部はなく、さらに過酷な天候や温度にも耐えられる仕様とした。

このアンテナを導入した航空機は、Amazon Leoの低軌道衛星とリンクを確立し、衛星間でシームレスにつなぎながら地上局と通信。Amazonのネットワークを介してAWSエッジロケーションに到達し、ネット上のさまざまなコンテンツやリソースへと接続する。

Amazon Leoの地上局は世界中で300カ所以上に設置されており、航空機のように地上局から離れた海洋上や極地などでも、衛星間のレーザー通信技術によって相互にデータ交信を実現するとしている。

Globalstar買収、iPhone・Apple Watch連携も

Amazonは、衛星事業者のGlobalstar(グローバルスター)を買収する最終的な合併契約を締結。これにより、衛星とスマートフォンなどが直接通信する“Direct-to-Device(D2D)サービス”を追加し、地上ネットワークの届かない場所にいるユーザーにも通信カバー範囲を拡げていく。買収完了は2027年の見込みだ。

さらにAmazonとAppleは、iPhoneとApple Watch向けにAmazon Leoの衛星サービス(衛星経由の緊急SOSを含む)を提供することで合意。Amazonはモバイルネットワーク事業者(MNO)やパートナーと協力し、世界中のどこにいてもユーザーに信頼性を高めた高速衛星通信を提供していく。

Globalstarは、モバイル衛星サービス(MSS)の大手であり、“非静止軌道(NGSO)衛星やD2D技術の先駆者”として、世界中の顧客に通信サービスを提供する企業。Appleと提携し、iPhone 14以降やApple Watch Ultra 3における衛星SOSなどで活用されている。

今回の契約でAmazonは、Globalstarの既存の衛星運用やインフラ、資産(認可を受けた周波数帯ライセンスを含む)を取得。GlobalstarのMSS機能や周波数帯に、Amazon Leoの規模やパフォーマンス、リーチを組み合わせることで、Amazonは世界中の利用者に対し、従来のセルラーネットワークのエリア内外を移動している場合も継続的な接続を提供できるようになるとしている。

また、Amazon Leoでは2028年から、独自の次世代D2D衛星システムを展開する予定。携帯電話などのセルラーデバイスに対し、より高度な音声・データ・メッセージングサービスなどを提供することにしている。

なお、Globalstarの既存の衛星と新たな衛星については、Amazonが計画しているD2D衛星システムやAmazon Leoブロードバンドシステムと並行して運用されるとのこと。

このほか前述の通り、AmazonとAppleの新たな契約により、AmazonはGlobalstarの低軌道衛星コンステレーション(MDA Space製)を利用中のiPhone・Apple Watchを引き続きサポート。Amazon Leoの拡張衛星ネットワークを活用した将来の衛星サービスについてAppleと協業することも公表している。