LIFULL社長・伊東祐司「『不動産×インターネット』の先駆者としてAI時代も変化を先取りしていく!」

不動産への注目度は引き続き高い

 足元の事業環境はポジティブに見ていますが、不動産市場では新築物件価格、中古物件価格共に高騰している他、土地や資材価格の高騰など様々な課題が顕在化していることも確かです。

 当社のビジネスはユーザーさんが不動産に興味を持ち、家を買いたい、借りたいといった時に探していただくというのが主な導線ですが、ユーザーさんの住み替え意欲は旺盛で、引き続き不動産への注目度は高いことを実感すると同時に、当社の業績も堅調に推移しています。

 当社の主力事業は不動産ポータルサイト「LIFULL HOMES」ですが、不動産に関わる全てのメニューを持っていることが強みです。住み替えのニーズがある限りはどこかで収益につながってきます。

 私は2023年に創業者で現会長の井上高志からバトンを引き継ぎ社長に就任しました。私自身、新卒で当社に入社したわけですが、井上が熱くビジョンを語る姿、リーダーシップに感銘を受けた1人です。いい部分は継承したいと思いますが、決して創業者にはなれません。

 私の強みは飛び込み営業からスタートして仲間と切磋琢磨し、お客様と共に成長してきたことです。その現場感覚や、チーム内でのコミュニケーション力を生かして、会社全体を引っ張っていきたいと考えています。

 当社は「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、「利他主義」を社是とするビジョン経営を行っており、ここに共感している人たちが入社しています。

 井上からの引き継ぎは「経営理念と社是だけは変えないで欲しい」というものだけです。この2つ以外は、時代の変化に合わせて変えていくことが私の使命です。

AIの登場で 「検索」のあり方が変わる

 当社は社会課題解決型企業、「ソーシャル・エンタープライズ」を標榜しています。例えば、地方創生は日本の大きな課題です。地方を訪れると空き家やシャッター街などを目にすることもあります。

 その課題に対して、全国の地方自治体が管理する空き家・空き地の情報を集めたサイト「LIFULL HOMES 空き家バンク」を運営し、空き家の利活用を進めています。

 また、インフレ下で不動産投資の需要が高まっています。日本最大級の不動産投資・収益物件サイト「健美家」もグループに保有していますが、非常に好調です。

 日本では長くデフレの時代が続いてきましたが、下がり続けていた物件価格、賃料は上昇に転じており、今は経済成長も含めてインフレにいかに適応していくかが大事になっています。急激な上昇は様々な悪影響を及ぼしますが、緩やかな上昇は必要なものだと考えています。

 これからの5年、10年はこれまでとは違う進化、変化が起きてくると感じています。例えばAI(人工知能)の登場で、検索のあり方が変わりつつあり、これによって人々の生活は大きく変わっていくと思っています。

 その時にポータルサイトも進化しなければなりません。当社には創業から30年で築いた顧客ネットワーク、データ、エンジニアによる開発体制がありますから、AI時代に適したポジションにあります。

 当社は「不動産×インターネット」の先駆者として、これまでも時代の変遷にアジャストし、業界の変化を牽引してきたと自負しています。AI時代においても、変化を先取りする存在であり続けたいと思います。

PROFILE

いとう・ゆうじ 1982年11月埼玉県出身。2006年大学卒業後、ネクスト(現LIFULL)入社。15年執行役員、20年取締役執行役員、23年12月代表取締役社長