弥生は11月6日、令和7年度の年末調整に関する意識や実務上の課題、「年収の壁」など法改正への対応状況、業務負担の実態についての調査結果を公表した。なお、調査は全国の従業員100人以下の企業における給与計算担当者729人を対象に実施した。
年末調整はソフト利用と紙の二極化が進行
令和6年度分の年末調整における申告書類の配布および回収業務では、運用方法の二極化が進行していることが明らかになった。配布・回収の手段は「ソフト活用」が52.6%(国税庁年調ソフト11.2%、人事労務・給与計算ソフト41.4%)と半数以上である一方、「紙の申告書」は38.1%だった。
ソフトを利用した企業では、配布・回収の工数削減効果について「40%以上削減できた」と回答した割合が全体の57.1%となり、ソフト活用における自計化のメリットがうかがえる。
年末調整期の負担は人手の工程に集中
年末調整業務の負担に関する質問では、「従業員からの提出状況の確認・督促」が34.2%と最も多く挙げられ、次いで「従業員への各種申告書の配布」が25.0%となり、提出状況の確認や配布・回収、記入確認といった人手を介す作業が負担として挙げられた。
また、「最新の法令の把握」(21.7%)といった、その年ごとの制度改正も大きな負担となっていることが調査結果からうかがえる。
令和7年度分は新たに「年収の壁」への対応も必要に
令和7年度分の法改正における「年収の壁」引き上げについて、「変更があることは知っているが具体的な業務影響は不明」と回答したのが47.6%で最も多かった。次いで、「具体的な影響を把握している」が26.2%で、「対象者がいない」が21.7%だった。
影響があり得る事業者の回答に絞ると、約6割が「具体的な影響を把握できていない」状況であり、制度改正の実務対応は検討途上であることが明らかになった。
「年収の壁」引き上げによる年末調整業務の負担感については、回答者の61.2%が増加を予測する結果に。その内訳は、「1~2割程度増」が20.5%、「2~3割程度増」が17.1%、「3~4割程度増」が13.4%と、ピーク期の業務逼迫リスクが高まる見込みだ。
一方で、「前回の年末調整とほとんど変わらない」と回答した企業も38.8%あり、対象者の少なさや事前準備の進捗が負担感に影響している可能性が考えられる。




