
人とは 「異なる」道を行こう!
─ 今年4月から新社長に就任した今井さんですが、改めて、社長就任の抱負を聞かせてもらえますか。
今井 わたしはユニークで特色のある「異能の総合商社」を目指そうと。これは今年1月末の社長交代の記者会見でも申し上げたのですが、豊田通商が持つユニークな強さを伸ばしていこうと考えています。
よく〝7大商社〟と言いますが、総合商社には資源に強いなど、各社特色があって、われわれもアフリカに強いという特徴があります。
加えて、当社は地球を掘って天然ガスや石油などの資源を採掘するのではなく、地表にある鉄をリサイクルしたリ、自然に吹く風や太陽の力をエネルギーに代えたりするなど、得意分野のはっきりしたユニークな道を進もうと思っています。
『わたしの「対話人生」』国際社会経済研究所理事長・藤沢久美「 記憶に残る人」
─ 「異能の総合商社」というのは、今井さんが考えた言葉ですか。
今井 最初に「異能」という言葉を提案したのはわたしですが、前任の貸谷(現・副会長)と2人で考えた言葉ですね。
貸谷は以前から「なんちゃって総合商社にはならない」と言っていました。通信簿でオール3をとるような商社にはならないと。
例えば、資源分野で5をとっている他社に対して、われわれが後から追いかけて3しか取れないようでは意味がない。すべてが平均点のオール3の商社ではなく、2もあるが、5も複数ある商社を目指そうと。
─ それが豊田通商にとってのアフリカや再生可能エネルギーということですね。
今井 ええ。まさにアフリカであり、再エネであり、資源循環です。やはり、他人と同じことをしていても勝てないし、遅れている分野を後追いしても追いつくのは難しい。
例えば、1990年代から2000年代にかけて、多くの企業が中国を目指しました。われわれは中国にも進出しましたが、この時、人とは「異なる」道を行こうということで、かなり大きなリソースをアフリカに振り分けて、アフリカを目指しました。それが今になって一定の成果を出せるようになっています。
つまり、他社とは異なる分野で独自の強みを伸ばしていこうということですね。