
日本の『共生』思想で…
『米国ファースト』の米トランプ政権だけでなく、各国で自国第一主義が激しさを増す。自国の利益、つまり国益を計るのは当然のことであるが、それが行き過ぎて、自国さえ、自分さえ良ければ……という空気が強まるとおかしな事になる。
他国との共生があっての健全なナショナリズムが真っ当なものだと思う。
本誌『財界』では、戦後80年に当たって、『日本の針路』を各界のリーダーに情報発信していただいている。日本総合研究所会長の寺島実郎さん(多摩大学学長)が本当の愛国について語る。
「本当の愛国とは何なのか。それは反米でも何でもなく、米国に過剰に期待したりせず、また中国に過剰に期待したり依存せず、日本としてアジアに日本モデルありということを発信していく時」
寺島さんは、このように語り、「成熟した民主主義に裏付けて、技術を持った産業国家として日本を見習わなくてはと思われるような事を日本はやっていく時だと思います」と強調する。
三菱商事の洋上風力撤退
産業界は常に変則・変調の波に襲われる。その中で米トランプ政権の高関税策があり、ウクライナ戦争なども起き、世界経済もインフレの波が起きたりする。
三菱商事が千葉県と秋田県の3海域での洋上風力発電所計画から撤退すると発表。国全体にも、また当該地域にも衝撃を与えている。2021年に、洋上風力発電の領域で『価格破壊』とされる最安値で挑戦し、注目されていたプロジェクト。しかし、その後の諸資材高騰で、「建設費は2倍以上になった」として、事業の見通しがつかないと三菱商事は判断、撤退に追い込まれた。
挑戦当時、業界の常識より破格の安値での受注だったが、結果的に、甘い見通しということになった。洋上風力のみならず、今後の国の再エネ計画にも与える影響も大きい今回の三菱商事の判断である。
企業のパブリック性(公共性)をどう考えるか。同社の創業理念に『所期奉公』とある。世のため、人のための事業を行うという精神をどう生かしていくか、今後の同社の対応が大事である。