
AIが急速に普及する今、企業の在り方そのものが改めて問われています。グローバルで見ればAIの導入自体はすでに広がりつつあり、次なる課題が顕在化しています。
アデコグループがストラテジック・パートナーとして参画している今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、スケール化とそれに不可欠な組織変革が主要論点として議論されました。技術に加え、人財育成や能力開発、データ基盤やガバナンスの整備が不可欠で、AI技術が驚異的な速さで進化する中、人間がいかに変化に向き合い、使いこなせるかが重要なポイントです。
では、日本企業はどうでしょうか。アデコグループが、世界13カ国2000人の経営層を対象に行ったAI時代のリーダーシップに関する調査結果が現在地を示しています。調査では、「AI活用の方針がない」と回答した割合はグローバル平均で34%だったのに対し、日本は43%にのぼりました。これは、日本企業におけるガバナンスや体制整備の遅れを反映しており、人間中心のアプローチを支える責任あるAI活用のためのフレームワーク構築が重要です。
また、同調査では「AI導入に対する経営層の自信」が前年比で11ポイント低下しました。この自信の低下が明確な方針の欠如を招き、結果としてディスラプションへの備えや体制整備の進展を妨げている実態も浮き彫りとなりました。AI活用とともに、リスクを管理し新たな価値創造を行っていく上でも、早急な対応が求められます。
解決の方向性として注目されるのが、通常業務にテクノロジーを活用し、人間を中心に据えた適応力の高い「未来対応型組織」です。その特長として、①リーダーシップのマインド転換、②教育・スキル開発への深い関与、③効果的なキャリアモビリティ、④構造的アプローチによるAI導入が挙げられます。これらを実践する企業では、生産性や意思決定力が向上し、人間中心のアプローチでディスラプションに対応。特に航空宇宙・防衛、テクノロジー業界の先進企業では、4つの指標すべてにおいて高いスコアであり、限られた人財に最大限に力を発揮してもらえる環境を整備しつつ、人財戦略を明確化することが成功のカギとなっています。
こうした組織を支えるリーダーにはアジリティが不可欠です。予測困難な時代において、新しい働き方を受け入れ、変化へ柔軟に対応する姿勢こそが競争力の源泉となります。とりわけAI時代においては、DXが企業の最重要戦略の1つであるにもかかわらず、その最大の障壁は人財不足であるという現実があります。調査でも、社内のテクノロジー人財やデジタル能力、スキル不足を認識している企業の割合が前年の倍に達していることが明らかになっています。
欧米では、人財不足と技術革新を背景に、従来のジョブ型からスキルベースのアプローチへの移行が進んでいます。同じ職務においても常に新しいスキルが必要となっていくため、スキルベースの人財マネジメントが、組織力の維持や適切なキャリア形成に求められるでしょう。
技術革新が進んでいるとはいえ、AIはツールにすぎず、中心にあるのは人です。経営戦略と連動した人財戦略を描き、人財要件を明確化、さらにAIによる学習支援を取り入れることは、人的資本の質を高めることにつながります。「人間中心の適応力ある組織づくり」こそが、持続的な成長を実現するカギと言えます。