【株価はどう動く?】世界的資金余剰の中、マネーは日本に向かう展開に

トランプ政策、地政学リスクは日本のプラスに?

 日本の多くの金融関係者の見通しと私の見通しは決定的に違います。今、世界で大きなリスクは2つあると見られています。1つは地政学リスク、もう1つがトランプリスクです。この2つが世界経済、株式市場のリスクだというのが、多くの人の考えのベースになっています。

 一方、私の見方は地政学リスク、トランプリスクともに、日本にとってチャンス、追い風だというものです。

 米トランプ大統領の政策は、前回指摘したように、全てインフレ政策です。米国発のインフレ経済が拡大しています。欧米先進国にとっては確かにリスクですが、日本は30数年間、金利ゼロ、あるいはマイナスで、デフレ経済にあえいでいましたから、インフレはデフレ脱却につながります。

 地政学リスクについて言えば、日本は先の大戦から80年間、多くの国民は平和と安全はタダと思ってきました。しかしウクライナでは日々、多くの国民が命を失っています。世界の現実は日本人が思っているものとは違うことに気づく機会がやってきたのだと考えています。

 もう1つ、ウクライナに近い欧州では対ロシアで臨戦態勢にあり、いずれ、一般向け商品の生産停滞、物資の不足に陥る恐れがあります。そうなると過去の第一次世界大戦時のように、米国、日本からの輸出に頼る必要が出てきます。結果として日本への需要が発生するわけです。

 以上の要因から脱デフレ、日本再評価相場が始まっています。約1年の下落、調整局面を終えて、新たな上昇相場が始まっているのです。

 出発点は7月22日、23日です。ここで米トランプ大統領が日本への関税を15%にすること、日本による約80兆円の対米投資が行われることを明らかにしました。このタイミングで日経平均は久方ぶりに4万円を奪回したのです。

 4万円の壁は突破したものの、昨年7月11日の高値、4万2426円はなかなか奪回できていませんでした。なぜなら、過去の高値近辺では猛烈な戻り売りがあるからです。

 ところが8月15日、内閣府がGDP(国内総生産)の速報値を発表したところ、アナリストなどの予測よりもいい数値が出たこともあり、それを見た海外投資家が日本株を買ってきました。これによって日経平均は8月18日に4万3714円と新高値を更新しました。

 価格の波動から見ると、今回の短期波動の出発点は4月7日の3万792円です。これはトランプ相互関税のショック安でした。ここから、8月19日の4万3876円まで上げて、その後1週間ほど軽い押し目を入れて、株価は出直っています。

 トランプ関税ショックから、日経平均の史上最高値までは約1万3000円上げました。その後の押し目が8月26日の4万2137円ですが、さらに上昇相場が始まる可能性があります。

 ここが起点なら、ここから「倍返しの法則」で1万3000円上げる可能性があり、日経平均は5万5000円が中長期の目標値として想定されます。

 その前提条件は、直近の安値である8月26日の4万2137円を大きく下回らないことです。これを下回るとまた、シナリオは変わってきます。ここから上昇するようであれば、新たな上げ潮相場が本格的に始まることになります。

 この目標値5万5000円をボックス理論から見てみます。昨年、天井を付けた後、日経平均は3万5000円から4万円の間で1年近く揉み合いました。

 前述のように7月22日、23日に4万円の壁を突破し、4万円から4万5000円のゾーンに入ってきています。直近の高値が4万3876円ですから、新しいボックス相場の壁、4万5000円を年内にも破る可能性があります。

 4万5000円の壁を年末までに破るようであれば、次のボックスは4万5000円買いの5万円売りとなります。この相場展開であれば、5万円が視野に入ってきます。来年の早い時期には、日経平均は5万円台を付けると予想しています。

 一般のアナリスト、金融関係者が想定しているよりも、今の日本株は上昇のピッチを上げているということです。

 さらに今、日本株の上昇を妨げる情報は見当たりません。日本の政局不安は織り込んでいますし、日銀の利上げもほぼ織り込みつつあります。年内に日銀が利上げをしたとしても、それほど円高、株安にはならないのではないかと見ています。

 波動で見ると、株価は短期も中長期も上がりそうですが、日本の株価が上昇する明白な材料は、個人金融資産です。統計を取るごとに増加しています。

 今年3月末は2230兆円にまで増加しています。この世界最大の個人金融資産が、着実に日米の株式市場に流入しています。これも株高の要因ですし、こうした資金が入ってくることで底堅い動きになります。

 日本は今、強烈な金余りの状況にあり、個人金融資産は増え続けています。これは株高の大きな背景にもなっています。企業も昨年末の統計を見ると、負債や借り入れの差し引きで25兆円の余剰です。前回も指摘したように、これは自社株買いや増配という形で表れてきます。

 そして海外投資家は、米国以外で投資する国として日本に注目しています。今後も株式、不動産を買う動きが続くでしょう。米国はニューヨークダウ、ナスダック、S&P500、いずれも歴史的高値圏にありますが、日経平均はようやく新高値を取ったばかりで割安感があります。

 世界の富は日本に向かうというのが、私の大局観です。

 足元でFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが注目されていますが、年内に1回はあるのではないかと見ています。米国が利下げすると円高、日本株安になるというのは1つの見方です。実際、昨年8月5日は4400円の下落がありました。

 ただ、結果的に株は戻り、絶好の買い場でした。その学習効果もあって、株価はそれほど下がらないと見ています。

 いよいよ、トランプ時代の超資産インフレ相場の始まりです。