NTTドコモビジネス(旧:NTTコミュニケーションズ)は7月2日、秘密分散技術を利用して地理的に離れた3拠点にデータを分散保存するクラウドストレージサービス「析秘(せきひ)STORAGE」の提供を開始することを発表した。

  • 析秘STORAGEのサービス概要

    析秘STORAGEのサービス概要

サービス提供開始の背景

デジタル技術の進展に伴って世界で生み出されるデータ量が増加しており、保存されるデータ量も増加の一途をたどる。当然ながら、顧客情報や製品開発情報など機密性の高いデータ容量も増加し、災害発生を想定した可用性や、ランサムウェア対策などのセキュリティを考慮した大規模ストレージが求められている。

しかし、大規模ストレージをオンプレミス環境で運用するためには、ハードウェアの管理や、容量増大に伴うストレージの調達など、専門知識とコストが必要となる。また、クラウド環境にバックアップする場合においても、情報漏えいのリスクが存在する。

帝国データバンクの調査によると、企業のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定している企業の割合は20.4%と、依然として少ない。BCPを策定していない企業は41.5%で、特に中小企業においてはリソースや専門知識不足から、対応が遅れている。

また、国内では製造業を中心にサイバー攻撃の被害が年々増加傾向にある。製造業は図表や仕様書、特許に関連するものなど多種の重要なデータを保有しており、セキュアなバックアップの需要が高まる。近年の製造業ではIoTやセンサーの活用も進み、保有するデータ量が急増している。

NTTドコモビジネスは2021年より、データを秘匿したまま統計演算が可能な秘密計算クラウドサービス「析秘」を提供している。今回は機微なデータの保管と利活用を促進する析秘ブランドのサービスとして、秘密分散ストレージサービス「析秘STORAGE」の提供を開始する。

「析秘STORAGE」の概要

析秘STORAGEは秘密分散技術を活用し、機密性かつ可用性を確保しながらデータの保全が可能なクラウドストレージサービス。北海道、東京、大阪の地理的に分散された3拠点にデータを保存する。

各拠点で保持されるデータは秘密分散技術により分散保存されるため、仮に1拠点でデータの窃取や漏えいが発生した場合でも、元のデータを復元できないという。1拠点で激甚な災害が発生しデータセンターごと被災した場合でも、残りの2拠点からデータを復元可能な可用性も備える。

  • 秘密分散技術で機密性を確保

    秘密分散技術で機密性を確保

また、同サービスはオンライン処理に適した「標準モデル」と、データバックアップに適した「アーカイブモデル」の2種類で提供する。それぞれのモデルに対し、提供形態は運用作業が不要なフルクラウド方式と、ユーザー企業の環境を一部活用するハイブリッド方式の2形態を展開。

一般的なクラウドストレージサービスではデータ保管容量の料金に加えてデータ転送により課金が発生するものもあるが、同サービスはストレージサイズのみで料金が決定し、データ転送による課金は発生しない。

  • プラン構成

    プラン構成

  • モデル構成

    モデル構成

  • 料金プラン

    料金プラン