NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は6月19日、エクサウィザーズとの資本業務提携を通じた取り組みとして、業務に特化した20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションを提供開始すると発表した。
サービス提供開始の背景
企業での生成AI活用は、「生成AIを使ってみる」フェーズから「生成AIを業務に組み込む」フェーズへと移行しつつある。汎用的な生成AIツールの導入だけでは業務への適用が難しく、「導入はしたものの業務プロセスの中に組み込めず積極的に活用できていない」といった課題が顕在化している。
しかし、業務に合わせた生成AIを導入する際には、業務ごとに設計や開発を進める必要があるため、導入には高いコストと長い開発期間が発生する。こうした課題に対し、NTT Comはエクサウィザーズと共に業務に特化した20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションを提供する。
20種のAIエージェントを提供開始
NTT Comが今回発表したソリューションは、業務特化のAIエージェントに業界知識やルールなどのデータを掛け合わせることで、業務プロセスに組み込んで活用できる生成AIの実現を目指す。
AIエージェントは「情報検索」「コミュニケーション」「業務自動化」「文書作成」「データ分析」の5つのカテゴリから、業務に応じて各4種、計20種を展開する。これらのエージェントを組み合わせ、各業界向けに特化させたソリューションとして提供する。
さらに、ベースとなるAIエージェントに個社の業務仕様に合わせたカスタマイズも可能。開発コストや期間を最小限に抑えながら、業務に応じた即戦力としても活用できるとのことだ。なお、AIエージェントは2026年には200種まで増やす方針。
金融業界向けセールス業務ソリューション
AIエージェント活用の例として、製造業における知財文書作成の支援業務がある。まずは業務ヒアリングエージェントへアイデアを入力し、対話しながら特許となりそうなポイントを整理する。
その後、社内ナレッジエージェントや外部情報リサーチエージェントを活用して、社内知財アイデアや出願済特許の情報を収集する。最後に、文書作成エージェントが特許出願に必要な出願書類を作成する。
製造業向け知財業務ソリューション
金融業界向けの例として、顧客への提案業務の支援が挙げられる。まず、業務ヒアリングエージェントと対話しながら提案方針を策定し、その後にセールスデータ分析エージェントが商談履歴や財務データなどを分析して提案の材料となる分析データを収集する。
続けて、提案の方針と分析データをもとに、提案資料作成エージェントが過去の提案資料等を参考にしながら新規提案書を作成する。この間にはAIエージェントが人の意思決定を促すことで、人と協働した業務が可能だという。
なお、これらのAIエージェントはまずエンタープライズ向けに半カスタマイズソリューションとして提供を開始する。将来的にはパッケージサービスのように中堅・中小企業向けにも提供する方針。