NTTデータは5月19日、マーケティング業務の生産性向上を支援するAIエージェントサービス「LITRON Marketing(リトロンマーケティング)」を6月から提供開始することを発表した。マーケティング業務の負荷を最大6割削減することを見込んでおり、より多くの施策立案と迅速な実行を支援するとのことだ。
サービス開始の背景
現代のマーケティング業務は、テクノロジーの進化や顧客接点の多様化に伴って顧客一人一人に適したコミュニケーションが求められており、トレンドや好みの移り変わりにも対応する必要がある。こうした複雑かつ流動的な環境変化に対応するため、マーケティング担当者の業務は負荷が高まり、多くの企業は効果的な施策の立案とその実行速度に課題を抱えている。
NTTデータはオフィスワーカーの生産性を向上させる生成AI活用のコンセプト「SmartAgent」の実現に向けて取り組んでいる。これまでにも、金融業界の企業向けに「AIバーチャル顧客」同士の会話から会員への効果的なマーケティング施策を導出する取り組みや、インフラ業界の企業向けにマーケティング業務全体の整理・ビジョン策定から生成AI適用対象の検討・アプリケーション開発まで実施する取り組みなどを進めてきた。
今回、マーケティング担当者が抱える課題解決やROI(Return On Investment:投資利益率)最大化のため、これまでの生成AI活用による業務高度化に向けた取り組みから得た知見を活用し、サービスの提供に至ったとのことだ。
サービス概要
LITRON Marketingはマーケティングの戦略・戦術(施策)の企画、実行、評価に至るまで、AIエージェントが一気通貫で自律的に支援や代行を提供する。段階的な機能拡張を計画しており、第一弾ではSNSや業界ニュースなどの情報から市場環境や業界トレンドを分析し報告する機能、ペルソナ分析などによりターゲット選定および施策を提案する機能、施策内容に従ったクリエイティブ(メールマガジンのテキストやデジタル広告の画像など)を作成する機能を提供する。
加えて、LITRON Marketingの効果を高めるため、コンサルティング・BPS(Business Process Service)の活用により、導入から施策改善までワンストップかつ、データ活用基盤・インフラを提供するなどフルスタックでユーザーを支援する。NTTデータは2027年度末までにLITRON Marketingおよび関連サービス全体で累計100億円の売り上げを目標とする。
LITRON Marketingの特徴
NTTデータは2025年6月から、SmartAgentに基づいた生成AI活用ソリューション「LITRON」の新サービスとして、マーケティング業務の生産性を抜本的に向上させるAIエージェントサービス「LITRON Marketing」の提供を開始する。
同サービスは担当者と対話型インタフェースでコミュニケーションを取るパーソナルエージェントが、担当者からの指示に基づいて各業務に適した専門性を持つ特化エージェントにタスクを割り振る機能を備える。
同社が提供するマーケティング業務向けサービスや各種SaaS(Software as a Service)と連携し、マーケティング戦略策定・戦術(施策)企画・施策実行・施策評価といった一連の業務プロセスを自律的に支援する。
業務プロセスの一気通貫な支援により、ターゲット像と施策全体の一貫性を保ちながら、マーケティング業務全体の負荷を最大6割削減するとのことだ。特に、人物像(ペルソナ)設計やカスタマージャーニーの作成、クリエイティブ制作の作業負担軽減が見込める。
サービス第二弾では、「施策評価支援機能」を追加予定。これにより、施策実行結果をまとめたレポート作成に加え、効果検証から次回施策に向けた改善策の提案まで対応可能となる。具体的には、施策状況を自律的にモニタリングし、開封率やクリック率など各種KPIに分解して評価を実施する。得られた示唆をまとめたレポートを作成し、過去施策データベースに蓄積。さらには生成AIがそれらのデータを基に学習を重ね、次回の施策企画の際には特定の業界、商品・サービスに最適化された施策内容を提案する。
また、「施策実行支援機能」では、想定顧客の特性に応じて、例えば、メルマガをどのタイミングで何を送ることで製品・サービスの購入に至るかまで描くMA(マーケティングオートメーション)シナリオ作成も追加予定だ。第二弾については2025年9月末までの提供を予定している。