LINEヤフーは11月5日、2025年3月期第2四半期の連結決算を発表した。売上収益は4,622億円 (YoY+4.7%)、調整後EBITDAは1,126億円 (YoY+9.1%)となり、代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の出澤剛氏は、「業績は順調に進捗しており、売上収益と調整後EBITDAのいずれも第2四半期として過去最高を達成した」と述べた。
第2四半期の業績のポイント
売上収益、調整後EBITDA、調整後EPSのいずれも期初ガイダンスに対して、順調に進捗している。その結果、2024年度の調整後EBITDAを200億円増の4500円~4600円、調整後EPSを4.1円増の18.5円~19.4円と上方修正した。
出澤氏によると、期初想定より利益が順調に伸びており、特に、メディア事業と戦略事業が期初計画以上に成長見込みであることが上方修正の要因となっているという。中でも、アカウント広告とPayPay連結の売上成長が増益に貢献した。
また、今年8月に自己株を取得したことにより、プライム市場上場維持基準は適合見込みとしている。
セグメント別の業績のポイント
メディア事業は、売上収益が1,817億円、調整後EBITDAが701億円となった。マージンも38.6%と30%台後半を維持した。売上収益の内訳は、ディスプレイ広告が610億円、検索広告が496億円、アカウント広告が302億円。アカウント広告は有償アカウント数と従量課金が拡大し、前年同期比46億円増と大きく成長した。
コマース事業は、売上収益が2005億円、調整後EBITDAが347億円となった。ショッピングとトラベルの増収が、子会社非連結化影響を吸収した。トラベルはYoY+20%超の成長を果たし、ショッピングは前年のふるさと納税の反動もあったがプラス成長となった。
戦略事業は、売上収益が812億円、調整後EBITDAが153億円となった。戦略セグメントで計上していたセキュリティ対策等の費用を調整額(全社費用)に変更したことに伴い、前四半期で計上したセキュリティ対策等の費用を第2四半期で調整額に振替処理を実施。その結果、戦略事業の調整後EBITDAが約50億円増加した。
連結取扱高の成長に伴う決済手数料の収入、リボ残高の拡大による金利収入が増加したことにより、PayPay連結は前年同期比から81億円増加。PayPay銀行、その他金融事業も順調に成長している。
成長に向けた今後の取り組み
出澤氏は、成長に向けた、今後の取り組みとして、「公式アカウント・ミニアプリ」「LINEコマース」「PayPay金融」を挙げた。
まず、LINE公式アカウントとミニアプリを強化することで、ユーザー接点およびマネタイズの拡大を狙う。公式アカウントではLINE通知メッセージを導入し、メッセージ配信数を拡大。ミニアプリにおいては、LINE上での予約・モバイルオーダーを導入。
出澤氏はこれらの施策により、「今まで、LINEはコミュニケーションツールだったが、店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するソリューションに成長させたい」と語っていた。
「LINEコマース」については、LINEのリニューアルによりショッピングタブを新設。これにより、LINE起点音ショッピング体験を提供する。
さらに、PayPayとのサービス連携を進めることで、金融事業の成長を促す。例えば、PayPayカードではアプリとクレジットカードの決済体験を統一することで、PayPayカードのメインカード化を推し進める。
情報漏洩を防止する施策の現状
説明会では、情報漏洩の防止策に関する質問が相次いだ。出澤氏は、セキュリティ対策は計画通り順調に進捗しており、対策費用は当初見込みの範囲内で推移していると説明した。
セキュリティ対策費用として約150億円が見込まれており、第2四半期は、業務委託費やライセンス料として、約40億円が計上された。
同社は現在、3カ月ごとに総務省に情報漏洩について報告を行っており、出澤氏は「現状、抜け漏れがないかなど確認しながら進めている。計画通り完了の見込み」と述べた。
なお、NAVERとの資本関係の見直しについては、ソフトバンクとNAVERの間で短期的な資本の移動が困難であり、まだ時間がかかるという。