NECは9月6日、倉庫や工場における自動搬送ロボット(AGV)を遠隔制御する際、無線通信の遅延を抑えて安定化させ、AGVの停止や不安定な稼働を回避する技術を開発したことを発表した。

  • 開発技術の概要

    開発技術の概要

技術の概要

倉庫や工場での人手不足が深刻化しているのを受け、NECはAGVを活用して作業現場の生産性を向上させるソリューションを開発している。遠隔制御のAGVでは無線通信を使用するが、通信の遅延や遮蔽物の影響で制御が不安定になる課題がある。

複数のネットワークを使う対策方法では、通信量が増大しアクセスが集中(輻輳)すると通信の断絶や遅延が発生し、制御が不安定になる課題があるという。

これらの課題に対してNECは、通信状態をリアルタイムに分析し、変動する通信品質を予測して最も遅延が少ない無線ネットワークに切り替える技術を開発した。これにより、安定したネットワーク接続を維持して通信遅延を抑えることで、AGVの稼働停止を回避できるようになるとしている。

また、無線リソースの競合や通信品質の低下による通信遅延の変動を抑えるため、あらかじめ設定したデータの内容や、要求される通信性能に応じて送信タイミングを調整する通信トラフィックの制御技術を開発した。これにより、映像データは遅延を許容しつつ、制御データを優先的に送信してAGVの安定稼働を実現する。

  • 技術の詳細

    技術の詳細

NECは2024年度中に倉庫での実証実験を行い、2025年度の実用化を目指す。この技術はロボットの遠隔監視や制御を行うシステム全般に適用可能で、将来的には自動運転やドローン、建設機械の遠隔制御にも活用を予定している。