NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は1月12日、街中を走行するモビリティから映像データを収集し、さらにそのデータを利用するための映像分散管理プラットフォーム「モビスキャ」の提供を開始することを発表した。これに伴い、同サービスを活用した具体的なソリューションとして「AI道路工事検知ソリューション(仮称)」も同時に提供開始予定だ。

街中の映像ビッグデータを利用できるプラットフォーム

今回提供を開始するモビスキャは、バスやタクシーなどのモビリティに搭載したドライブレコーダーで周囲の動画を撮影し、その映像データをさまざまな用途に使うためのプラットフォーム。

モビリティを保有し動画を撮影する企業は「モビリティパートナー」と呼ばれる。タクシー会社やバス会社などのモビリティパートナーは、NTT Comからプラットフォームに対応するドライブレコーダーを貸与され、通常業務の運行の中で動画を撮影する。なお、動画に含まれる人物の顔や車のナンバーなどの個人情報は、マスク処理により保護される。

一方、同プラットフォーム上に蓄積されたデータを活用する企業は「データ活用パートナー」となる。インフラ保全や災害ら遺作、交通渋滞の解消など、街中の映像データを効率的に活用したい企業によるデータ活用が見込める。

複数のモビリティを用いて街中のデータを逐次収集する仕組みのため、膨大なデータ量を収集できる点が、同プラットフォームの利点。個社での対応が困難な映像ビッグデータの分析と活用を促すと、NTT Comは打ち出している。

  • モビスキャのプラットフォーム概要図

    モビスキャのプラットフォーム概要図

モビスキャで発揮するNTT Comの強み

モビスキャでは複数のモビリティによって映像データを収集するため、豊富なデータ量が特徴となる。その反面、すべてのデータを蓄積することはコストの面から難しい。そこで今回、複数のモビリティから同じ場所の映像データをサーバで受け取った際に、その中から最適なデータのみを保存する機能を搭載した。

ここで選ばれる最適なデータは、映像を撮影した時間帯やほかの動画撮影地点からの距離、気象庁から取得した天候データなども加味して判断されるという。

  • 最適な映像データのみを選別して処理するという

    最適な映像データのみを選別して処理するという

エッジに搭載されたAIによる物体検知判定で不要と判断されたデータであっても、各ドライブレコーダーのSDカードに一定期間保存される仕組みも有する。サーバには各SDカードが保存している映像のサマリーデータのみを送信し、データ保存期間内にデータ活用パートナーからの新たな要求が生じた際には改めて映像データを送信できる仕組みだ。

  • 分散してデータを保持するイメージ

    分散してデータを保持するイメージ

また、SIM挿入済みのドライブレコーダーを活用することで、ドコモグループが有するモバイル回線を利用できるようになる。今後の多様なサービス開発に必要な情報も収集できる仕組みを構築していくという。

AI道路工事検知ソリューションを用いた実証実験

NTT Comはモビスキャの映像データ活用例を示すため、「AI道路工事検知ソリューション(仮称)」を公開する。このソリューションは、モビリティに搭載したドライブレコーダーのエッジAIが工事用コーンを検出した際に、その前後5秒間の映像をサーバに送るというもの。

サーバが映像を受け取るとさらにAI解析し、工事用の看板やコーン、バーなどを検知して映像データをスコア化する。ここで一定のスコアを超えた映像のみを、データ活用パートナーのユーザーに提供する。データ活用パートナーは専用サイトのマップ画面から、クリック一つで工事個所の映像を確認できるとのことだ。

  • AI道路工事検知ソリューション(仮称)

    AI道路工事検知ソリューション(仮称)

ガスや電気などのインフラ事業者は埋設された設備が破損しないよう、敷設している道路上で事前に把握できていない工事が行われているかを確認するために、社用車などを使って日々パトロールを行っている。モビスキャを用いたAI道路工事検知ソリューションを活用することで、こうしたパトロールに必要な燃料費や車両コスト、および人的コストを削減できるようになるとのことだ。

  • パトロール業務における課題

    パトロール業務における課題

今後の展望

NTT Comの執行役員で5G&IoTサービス部長を務める藤間良樹氏は「モビリティパートナーが増えて録画する映像の量が増えると、データの質や価値も上がっていく。そうすると、高付加価値なデータを活用したいパートナーも増えるはず。ドコモグループが持つ既存の顧客基盤なども活用しながらプラットフォームを拡大したい」と、展望を語った。

  • NTT Com 執行役員 5G&IoTサービス部長 藤間良樹氏

    NTT Com 執行役員 5G&IoTサービス部長 藤間良樹氏

同氏によると、今後はプラットフォームを拡充するとともに、道路監視やひび検知など、さまざまな業界向けのソリューション構築も進めるという。将来的には5G(第5世代移動通信システム)などの技術を活用して、リアルタイム性の向上も狙う。2027年度までにサービス収益30億円規模を目指すとのこと。