マネーフォワードは1月12日、2023年11月期通期の決算説明会をオンラインで開催した。同社 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏が説明を行った。

  • マネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏

    マネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏

通期の売上高は過去最高の300億円を突破

今回の通期決算の発表からビジネス概要と決算発表の2部構成とした。同社では、バックオフィスSaaS(Software as a Service)を中心とした「ビジネスドメイン」、決済サービスといった「ファイナンスドメイン」、SaaSマーケティング支援を行う「SaaSマーケティングドメイン」、Fintech推進・DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う「Xドメイン」、家計簿アプリをはじめとした「ホームドメイン」の各ドメインを有している。

辻氏はマザーズ市場に上場した2017年度からこれまでを振り返り「当時の公募価格ベースの時価総額は285億円だったが、2023年度は8倍の2463億円(期末時点の価格)、売上高が10倍以上、SaaS ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)が9倍、法人向けARRは12倍、『マネーフォワード ME』の利用者数は1530万人となり、従業員数は241人から2148人に拡大している」と胸を張った。

通期の連結売上高は前期比41%増の303億8000万円、SaaS ARRは同42%増の231億5000万円となり、ともに第2四半期に上方修正した見通し上限を超えて着地。法人向けARRは同46%の166億9000万円、EBITDA(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前・税引き前・減価償却前利益)は2023年度第1四半期~第4四半期の見通しすべてを達成した。

  • 2023年11月期通期のハイライト

    2023年11月期通期のハイライト

決算を説明したマネーフォワード 取締役執行役員 CFOの金坂直哉氏は「下期は非常に事業が順調に進み、いずれも上限を超えた着地となった」と話す。

  • マネーフォワード 取締役執行役員 CFOの金坂直哉氏

    マネーフォワード 取締役執行役員 CFOの金坂直哉氏

ビジネスドメインの売上高は前期比47%増の187億1000万円となり、法人向けARRのうち、中堅企業以上は新規獲得とクロスセルが引き続き順調に進捗し、第4四半期は前年同期比71%増の59億500万円、SMBは同32%増の97億8600万円。

また、第4四半期の法人と個人事業主を合わせた課金顧客数はインボイス制度などへの実務対応とDX(デジタルトランスフォーメーション)の強い需要を受け、前年同期比27.8%増の30万1233人となり、法人課金顧客数は1万20社と過去最大の純増を達成した。ARPA(Average Revenue Per Account:1アカウントあたりの平均売り上げ)は同12.1%増の6万911円となった。

  • ビジネスドメインにおける四半期の売上高推移

    ビジネスドメインにおける四半期の売上高推移

ビジネスドメイン以外の状況

ファイナンスドメイン、SaaSマーケティングドメイン、Xドメイン、ホームドメインの4つのドメインについては第4四半期の数値が中心となる。

ファイナンスドメインは、前年同期比29%増の3億9000万円で請求・決済代行事業(ストック売上)が同40%増の1億5700万円、売掛金早期資金化事業(フロー売上)はマクロ環境をふまえた与信の引き締めで2023年度第3四半期比で取扱高が減少した。

SaaSマーケティングドメインは、前年同期比39%増の11億3500万円。「BOXIL EXPO」の開催で成長し、クラウド活用と生産性向上の専門サイト「BizHint(ビズヒント)」を運営するビズヒントがグループ傘下に入ち、2024年第1四半期から連結を開始する。

  • SaaSマーケティングドメインにおける四半期の売上高推移

    SaaSマーケティングドメインにおける四半期の売上高推移

Xドメインは、前年同期比33%増の6億6800万円となり、DX支援サービス「Mikatano」シリーズの堅調な成長により、ストック売上は同41%増の3億4900万円、フロー売上は同26% 像の3億2000万円。

ホームドメインは、前年同期比18%増の10億6400万円。プレミアム課金収入がマネーフォワード MEの金融関連サービス連携上限数の変更に伴う影響もあり、同32%増の6億8000万円、「お金のEXPO 2023」を4年ぶりにリアル開催し、4000人以上が申し込んだという。

今後の見通しは?

一方、今後の業績見通しについて、2024年通期の売上高は前期比30~38%増の395~420億円、SaaS ARRが同30~37%増の300~316億円、EBITDAは10~30億円を計画。広宣費売上高比率は15~17%、人件費外注費売上高比率は64~69%にそれぞれ改善し、EBITDAマージンは2023年度と比べて10~15%増の改善を目指す。

  • 2024年11月期の見通し

    2024年11月期の見通し

そして、今回の説明会では中長期的な目標も公表された。同社では2028年通期の売上高1000億円以上(SaaS ARRは800億円以上)、EBITDAは300億円以上と高成長とマージン改善の両立を目指しつつ、長期的にEBITDAマージンは40%以上を想定している。

売上高の構成はビジネスドメインが600~650億円以上、SaaSマーケティング、X、ホームの各ドメインは100億円以上、ファイナンスドメインは60億円以上を目標に掲げている。

  • 中長期的な目標

    中長期的な目標

辻氏は「2024年は当社の各ドメインにおける市場規模は6.5兆円に達することが見込まれている。ビジネスドメインのみならず、ファイナンス、SaaSマーケティング、X、ホームの各ドメインでも大きなTAM(Total Available Market)があることから、しっかりとビジネスを展開していく」と力を込めていた。