オンセミとマグナは7月27日(米国時間)、オンセミのElite SiCインテリジェントパワーソリューションをマグナのeDriveシステムに統合するための長期供給契約(LTSA)を締結したことを発表した。

SiC(シリコンカーバイド)はワイドギャップ半導体基板で、EVのような高温・高出力アプリケーションに適しており、航続距離延長などの性能向上に寄与するとされる。しかしその生産ハードルは高く、製造業者の数は限られており、その一方でSiCベース設計に対する需要も拡大しているため、自動車メーカーや自動車部品サプライヤは、長期的に安定したSiCの供給を確保したいと考えるようになっている。

65年以上の事業活動によりグローバルで341の製造施設を展開するマグナは、電気自動車(EV)市場が成長を続ける中で、eDriveシステムを提供している。

オンセミは、同システムにElite SiC技術を統合することで、冷却性の向上、加速度および充電速度の高速化を図り、EVの効率向上と航続距離の延長を実現するとしている。さらに、同社が保有するエンドツーエンドのSiC製造能力と迅速な生産立ち上げ能力を活用して、マグナのサプライチェーンを簡素化しEV向けSiCベース製品の需要拡大に対応可能だとする。

なお、マグナは今回の契約条件に基づき、将来の製品供給を確保するため、オンセミが保有するニューハンプシャーおよびチェコの製造施設における新しいSiC装置の調達に、約4000万ドルを投資する予定とのことだ。

今回の契約締結にあたり、オンセミのアドバンストパワー・ディビジョンでシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャを務めるアシフ・ジャクワニ氏(Asif Jakwani)は「航続距離の不安が依然としてEV普及の最大の阻害要因となっている現状で、オンセミの技術はEVの航続距離の延長を可能にし、電動化された未来への移行を推進する」とのコメントを残している。

一方、マグナ・パワートレインのディバ・イルンガ社長は「EV市場が成長を続ける中、マグナの電動化戦略を支え、競合に打ち勝つために、将来にわたってSiC供給を確保するための積極的な対策を講じている」としている。