三菱重工機械システム(MHI-MS)は7月7日、保育園・認定こども園・幼稚園の送迎用バス内などにおける園児の置き去り防止を支援する置き去り検知システム「Mikke」の開発を完了し、送迎バスを保有する各園のほか、バス製造企業や自動車整備会社からの注文受付を7月より開始したことを発表した。

昨今、送迎用バスや乗用車など自動車内での置き去りにより子どもが亡くなる事故が後を絶たず、社会問題として認知されるようになっている。このような背景から、国土交通省は送迎バスに対して「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」を作成、2023年4月より適合する安全装置の設置を義務付けた。

MHI-MSは、送迎バスの車内置き去り防止支援装置である「降車時確認式」と、置き去り検知システムである「併用式(降車時確認式と自動検知式による2重チェック方式)」の2機種をラインナップしている。

前者は、エンジン停止後に車内確認を促す音声アナウンスを流すことで運転手の目視確認を徹底する仕組みで、アナウンス停止ボタンを押すことで車内点検が完了となり、ボタンが押されなかった場合にはアナウンスが社外にも流れるという。さらにオプション機能として、スマートフォンへ確認を通知するメッセージを送ることも可能だとする。

一方の併用式では、降車時確認式による運転手の目視確認に加え、レーダセンサの電波によって車内の自動検知を行う。従来はカメラによる検知方式が主流であり、状況によっては視認が難しいという課題があるが、金属以外のさまざまな物質に対する透過性を持つ電波を用いることで、障害物の影響を受けにくく、シート裏や毛布などに隠れている園児の微小な動きを検知できるとしている。なお、降車時確認で万が一見逃しが発生し、置き去りを検知した場合には、音声警報により車外に置き去りの発生を通知するとのことだ。

  • 併用式置き去り検知システム

    併用式置き去り検知システム(降車時確認式と自動検知式による2重チェック式)の動作フロー (出所:MHI-MS)

MHI-MSの提供するMikkeは、国土交通省のガイドラインに適合しているため補助金の対象製品にあたるとする。同社は今後も、社会課題の解決に向けた製品開発を通じて安全管理サポートなどのソリューションを提供し、置き去り事故の発生リスクを低減するとともに、安心・安全な社会生活の実現に貢献するとしている。