帝国データバンクは5月17日、企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケートの結果を発表した。有効回答企業数は1,033社。

日本では人材不足が深刻な問題となっているが、同社が行った調査では、2023年4月に正社員の人手が不足していると感じている企業の割合は51.4％、非正社員は30.7％という結果が出ている。

今回、正社員・非正社員の人手不足の状況とその要因について尋ねたところ、「人手が不足していない要因」では、「賃金や賞与の引き上げ」と回答した企業の割合が51.7％と、最も高かったという。

これに、清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置など「働きやすい職場環境づくり」（35.0％）、「定年延長やシニアの再雇用」（31.2％）が続いている。

  • 人手が不足していない要因（複数回答）　引用：帝国データバンク

一方、「人手が不足している要因」は、「条件に見合った人材から応募がない」という回答が54.6％となり、最も多かった。特に、即戦力を求める中小企業ではその傾向が強く、採用に苦難している状況がうかがえるという。

「人手が不足している要因」を業界別に見ると、建設と運輸・倉庫は、「業界の人気が少ない」が6割を超えていた。2024 年問題が差し迫る運輸・倉庫では、「業界の人気がない」のほか、「時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」（32.6％、同＋18.8 ポイント）、「労働環境が厳しいと受け止められる」（62.8％、同＋25.6 ポイント）などが目立っているという。

  • 人手が不足している要因（業界別）　引用：帝国データバンク