東京商工リサーチは4月6日、2022年度の「人手不足」関連倒産の状況を発表した。2022年度の「人手不足」関連倒産は79件(前年度比51.9%増)で、コロナ禍では2020年度(74件)を超え、最多を記録した。前年度を上回ったのは3年ぶりだという。

要因の内訳は、「従業員退職」が33件(前年度比50.0%増)、「求人難」が29件(同20.8%増)で、2つの要因で計62件(同34.7%増)と約8割(構成比78.4%)に達したという。同社は、経済活動の本格的な再稼働で、好条件の企業へ労働力が移動する懸念も強まっていると指摘している。

「人件費高騰」も17件(前年度比183.3%増)と、前年度(6件)の3倍近くに増加。賃上げの機運が高まるなか、人件費アップによる収益悪化に直面する中小企業の苦境がうかがえるという。賃上げが消極的な企業は従業員の定着率の低下につながり、求人を出しても人が集まらない悪循環に陥っているとのことだ。

  • 「人手不足」関連倒産 要因別 資料:東京商工リサーチ

産業別では、10産業のうち、卸売業、金融・保険業、不動産業を除く7産業で前年度を上回った。最多は、サービス業他の29件(前年度比26.0%増、構成比36.7%)で、3年ぶりに前年度を上回り、2020年度と同件数だったという。