順天堂大学(順大)とメタジェンセラピューティクスの両者は4月19日、「活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法(A-FMT療法)」の臨床研究について、順大 医学部附属順天堂医院にて、先進医療の第1例目となる腸内細菌叢移植を実施したことを共同で発表した。

  • A-FMT療法の概要

    A-FMT療法の概要(出所:順天堂大Webサイト)

A-FMT療法は、患者の乱れた腸内環境を改善するため、3種類の抗菌薬(アモキシシリン、ホスホマイシン、メトロニダゾール)を用いて、患者の腸内細菌叢を除去した後、健康なドナーの便から調整した腸内細菌叢溶液を内視鏡により注入し、バランスのとれた腸内細菌叢を構築する医療技術だ。順大などは現在、以前より行われてきた腸内細菌叢移植の前に抗菌薬の投与を追加することで、より効果的な腸内細菌叢移植となることを目指しているという。

今回の臨床研究は、軽症から中等症の左側・全大腸炎型の潰瘍性大腸炎患者を対象とし、A-FMT療法の有効性および安全性を検討することを目的に、2023年1月に先進医療Bとして承認された。そして同月より、先進医療B「アモキシシリン、ホスホマイシンおよびメトロニダゾール経口投与並びに同種糞便微生物叢移植の併用療法」として、順大医学部附属順天堂医院にて研究がスタート。同年3月には順大医学部附属静岡病院、金沢大学附属病院が研究参加施設として加わった。なお、予定試験期間は2024年3月までで、37例が実施される予定となっている。

また、メタジェンセラピューティクスは共同研究機関として、腸内細菌ドナーのリクルーティング、便検体の管理、腸内細菌叢溶液の調製、品質管理などに係る支援業務を提供しているとする。

順大とメタジェンセラピューティクスは、引き続き、先進医療として今回の医療技術の有効性や安全性を検討し、標準治療化を目指して研究を進めていくとしている。