oViceの最新技術を品川で期間限定で体験可能に
oViceとコクヨは2月14日から3月23日まで、ビジネスメタバース空間「oVice」と実際のオフィス空間が融合した働き方を体験可能な展示型オフィス「oVice Hybrid Office _ Shinagawa」を、コクヨの東京品川オフィス「THE CAMPUS」(東京都 港区)内に構える。両社は期間限定で同施設を公開し、ハイブリッドワークの活性化に向けたサービスの体験を提供する。
oViceはリアルなオフィスだけでなく自宅や外出先からも出社可能なバーチャルオフィスサービス。oViceに出社しWeb上で自分のアバターを動かすことで、他人のアバターに近づいて話しかけられる。近くにいるアバターの声が大きく聞こえ、アバター同士が離れると声も小さくなる。バーチャルオフィスを移動する中で偶然聞こえてきた会話にも立ち話のように参加可能だ。
最近は新型コロナウイルス感染症の流行が徐々に落ち着きを見せ、「ニューノーマル」や「アフターコロナ」とされる生活に移行し始めている。テレワークを余儀なくされていた時期とは異なり、オフィスへの出社に回帰する傾向も見られる。
一方で、テレワークやハイブリッドワークへの要望も依然として高く、oViceとコクヨは2022年8月に業務提携を行い、分散した人と情報をつなぎ、離れていても常時自然につながっている状態を創出するため、「デジタルワークプレイス」の研究開発を開始した。
今回、oViceはコクヨが東京品川オフィスの一部をショールーム的に一般開放しているTHE CAMPUSの一部に入居し、両社が共同研究を行っている技術や開発中の新サービスを公開する。2月14日から3月23日までの平日10時30分から17時まで見学可能で、完全予約制。詳細な来場方法などはメールにて案内するとしている。
oVice Hybrid Office _ Shinagawaでは、ハイブリッドワークを支援する以下の4つのサービスを体験可能だ。1つ目はスマートフォンアプリ「oVice Go」。これはいつでもoViceとつながれるモバイルアプリで、アプリを介してリアルなオフィスにいる人が自宅で勤務している人に話しかけられる。反対に、オンラインで自宅から出社している人がオフィスにいる人に話しかけることもできる。
2つ目は「ビーコン」を利用した現在地の特定で、リアルなオフィスでの利用を想定している。天井や家具などにビーコンを設置してoVice Goと連携すると、スマートフォンの持ち主が現在どこにいるのかをリアルタイムでoViceに反映する仕組みだ。誰がどこで作業しているのかが分かるので、フリーアドレスと相性が良いという。
3つ目はリアルなオフィス空間とオンラインをモニターでつなぐ「窓」だ。oVice Hybrid Office _ Shinagawaに設置した大型のモニターとoViceをつなぎ、いつでも話しかけられる状態を作り出している。雑談やちょっとした相談など、リアル空間でまるで隣で仕事をしているかのように話せる仕組みだ。
4つ目はリアルなオフィスとオンラインから同時に編集できる「ホワイトボード」である。同サービスはリコーとも共同開発中とのことだ。実際にオフィスにある電子ホワイトボードをoViceと連携しており、どこからでも編集可能。
なぜ、oViceとコクヨが手を組むのか
コクヨといえば、キャンパスノートをはじめルーズリーフなどの紙製品や、はさみなどの文房具に日々お世話になっている人が多いだろう。事務用の椅子やデスクなどオフィス家具も手掛けており、リアルなオフィスの「働く空間」を長年支えてきた。
一方のoViceはコロナ禍で誕生した、ビジネス利用向けのメタバースサービスである。感染予防のためにオフィスへの出社が制限される中で、リアルなオフィス空間と同じような偶発的な雑談を生み出し、リモートワークによる疎外感を解消する目的で開発したという。
oVice 代表取締役 CEOのジョン・セーヒョン氏は「コロナ禍に突入した当初は、テレワークのコミュニケーション課題を解決するうえでoViceがうってつけだった。当時は営業活動もいらないほど売れていたが、最近ではオフラインでのコミュニケーションやオフィスへの出社が重視されるようになり、成長が鈍化している」と話す。
oViceはリアルなオフィスを持たず、基本的に社員は自社サービスoViceのバーチャルオフィスに出社しているそうだ。そうした中、営業社員やサポート社員がオフィスに出社したことがないため、顧客のオフィスでの困りごとや課題に共感できないという課題が生じていたとのこと。だからこそ、今回oViceはコクヨのリアルオフィスの一角に入居することにした。
コクヨは紙製品や文房具を手掛けながら、オフラインのオフィス空間を出発点にハイブリッドなオフィスのあり方を模索してきた。一方oViceはバーチャル空間のオフィスサービスから歩み始め、ハイブリッドなオフィスに資するサービス開発を目指している。そもそもの出自こそ違えど、両社が目指す先は同じだったのだ。
「oViceが出している記事やリリースとコクヨが出している記事やリリースの社名を入れ変えても違和感が無いほど、両社の方針が似ていると思った」と、ジョン・セーヒョン氏は述べていた。
また、同氏はoViceプロダクトの今後について、以下のように展望を語った。
「oViceは元々コロナ禍でのコミュニケーションを生み出すためのサービスとして出発したが、次に目指すのはコネクションを生み出すサービス。今まで人が語り合うツールだったoViceを、これからはメンバーがつながるためのインフラにしたい」