デロイト トーマツ ミック経済研究所は1月24日、「ビジネス向けXRソリューション市場の現状と展望2022年度版」を1月に発刊したと発表した。

  • ビジネス向けXRソリューション売上高(2021年は実績、2022年は見込み、2023年は推定、2024年以降は予測)

    ビジネス向けXRソリューション売上高(2021年は実績、2022年は見込み、2023年は推定、2024年以降は予測)

今回の調査範囲におけるビジネス向けXRソリューションの市場規模は、2021年度が241億円で、2022年度は前年比134.4%の324億円に達する見込みだという。

「ここ2、3年ほどでXRという言葉の認知はかなり広がっており、市⺠権を得ている」という言葉は調査先からかなり出ており、クライアント企業からの要望も具体化し、とりあえずXRを試してみたいという要望から具体的に自社のこの業務で活用したい、という声が増えていることもXR市場普及の環境が整ってきていることを示唆している。

大企業においてはDX推進の一環としてのデジタル化は一巡したと見られ、今後はこれまで放置されていた3DデータをXRと組み合わせることで、業務のクオリティを上げていくなどの取り組みがされているという。こうした背景から、実験的なスモールスタートから一歩進んで全社的な取り組みへ移ろうとする企業も増えているということだ。

引き続きデバイスの価格帯や大きさ・重量感といった課題があるなか、ゴーグル型デバイスに依存せず、PCやスマートフォン、タブレットでもXRを体験できるタイプの商材は、ゴーグル型デバイスが抱える課題の影響を受けないことから、着実に成長しているという。

  • ビジネス向けXRソリューション市場の推移(2021年は実績、2022年は見込み、2023年は推定、2024年以降は予測)

    ビジネス向けXRソリューション市場の推移(2021年は実績、2022年は見込み、2023年は推定、2024年以降は予測)

また昨今の「メタバース」のバズワード化により、メタバースを活用しようとする企業は増加しているという。こうした取り組みにおいては、将来的なXRデバイスによるメタバース体験を見据えているが、まずはPCやスマートフォンを活用する動きがほとんどだという。 メタバースについては期待値が先行している面も強く、今後の実績次第ではブームの熱が冷める可能性はあるものの、産業系も含めてPCやスマートフォン、タブレットを活用したXRは今後も堅調に推移していくとみている。

ゴーグル型デバイスを活用するタイプにおいても進化は続いており、教育・トレーニングや作業時の支援といった用途では、 ハンズフリーで作業を行える点は非常に相性がよく、活用が進んでいることから、ビジネス向けXRソリューション市場は、年平均成⻑率34.3%で推移すると、デロイト トーマツは予測する。

なお、今回の調査は、XRソリューションを提供するICTベンダー138社のうち主要ベンダー39社を調査したデータを基に、その他ベンダーを含めた総市場を集計・分析したもの。調査対象は、主にBtoBおよびBtoBtoC向けとし、法人に向けて納品している分の売上高をビジネス向けXRソリューション市場としている(ゲームは除く)。また、ゴーグルやスマートフォン、PCも含めて調査を行ったという。