TrendForceによると、2022年第3四半期(7~9月期)のファウンドリ企業売上高トップ10社の売上高合計は、前四半期比6%増の352億1000万ドルとなったという。
成長の要因は同四半期にiPhone 14シリーズが発表され、Appleのサプライチェーン全体で半導体の在庫の積み増しが進んだ影響が大きいとTrendForceは分析している。ただし、世界経済は弱ぶくんでおり、消費者の購買意欲は低下気味であることには変わりはなく、下半期の需要は低迷し、在庫削減は予想よりも遅く進んでいることから、多くのファウンドリの受注は下方修正される状況となっている。そのためTrendForceでは、第4四半期のファウンドリ上位10社の売上高合計は前四半期比でマイナス成長になると予測している。
上位5社で市場の9割を占めるファウンドリ業界
第3四半期のシェアトップは引き続きTSMCで、Samsung、UMC、GlobalFoundries(GF)、SMICと順に続く。これら5社だけで市場シェアの約9割を占めているが、TSMCはAppleの新SoCを受注するなど、先端プロセスが好調で売上高を伸ばすことができた(同四半期における先端プロセスが売上高に占める割合は54%)が、それ以外の各社は顧客の在庫調整などの影響からほぼ横ばいという状況となっており、結果としてTSMCが市場シェアを前四半期の53.4%から56.1%に伸ばした一方、SamsungはiPhoneの恩恵がある程度あったもののウォン安の影響から16.4%から15.5%にUMCは7.2%から6.9%に、GFは5.9%から5.8%に、SMICは5.6%から5.3%にそれぞれシェアを落としている。
6位から10位までを見ると、6位のHuaHong Groupと9位のTowerのみ前四半期比で増収を達成したが、7位のPowerchip Semiconductor(PSMC)、8位のVanguard International Semiconductor(VIS)、10位のNexchipは減収となった。中でもNexchipは、需要と生産能力の不均衡が原因で、上位10社中で最大のマイナス成長率となった。
2022年第4四半期は各社ともにマイナス成長の可能性
TrendForceでは、第4四半期について、多くのファウンドリの収益の伸びは鈍化するかマイナスに転じる可能性を指摘している。この影響はTSMCにも及ぶ可能性があり、7/6nmプロセスの注文が予想以上に減少する可能性があるとする一方、5/4nmプロセスの注文によって売上高は維持される見込みで、マイナス成長となることはないが横ばい程度になる可能性が高いとの見方を示している。
また、多くのファウンドリの工場の稼働率が低下する見込みだともしている。