西武鉄道は、新たに開発したエッジAIカメラを活用した踏切異常検知システム「踏切滞留AI監視システム」と3Dカメラと画像解析システムを活用した「3D画像解析踏切監視システム」を11月14日より西武池袋線、新宿線の3つの踏切で本格運用を開始することを発表した。

  • 「踏切滞留AI監視システム」の検知イメージ(同社資料より)

    「踏切滞留AI監視システム」の検知イメージ(同社資料より)

導入されるシステムはそれぞれ特徴を持つ2つのシステムで、踏切内の"人"の滞留を検知する。一つが、沖電気工業と丸紅ネットワークソリューションズが開発した「踏切滞留 AI 監視システム」で、リアルタイムにAI画像処理を行う監視カメラにより、踏切内に滞留する人や車、自転車等の物体を解析・検知。異常発生時には、特殊信号発光機と連動し列車の運転手へ警告を発する。

  • 「踏切滞留AI監視システム」のシステム概要(同社資料より)

    「踏切滞留AI監視システム」のシステム概要(同社資料より)

自動車を検知主体とする従来のシステムに対し"人"も検知できるため、複数ある小規模な"人道踏切"などに効果がある。また、汎用カメラを利用できるので、低コスト運用が可能となる。カメラは西武池袋線の池袋第9号踏切、所沢第3号踏切に導入される。

  • 「3D画像解析踏切監視システム」の検知イメージ(同社資料より)

    「3D画像解析踏切監視システム」の検知イメージ(同社資料より)

もう一つの「3D画像解析踏切監視システム」は、2つのレンズを持つ3Dカメラと3D画像解析システムで、踏切内の物体を立体的に知覚・検知し、異常発生時は特殊信号発光機と連動して運転手へ警告する。距離・高さ・奥行で認識する3Dカメラは、体積の無い光や影などの影響を受けにくく、雪や雨、虫などの大きさも認識できるため自然環境に左右されない安定した運用が可能になる。カメラは西武新宿線の杉並区上井草の井荻第2号踏切に導入される。

  • 「3D画像解析踏切監視システム」のシステム概要(同社資料より)

    「3D画像解析踏切監視システム」のシステム概要(同社資料より)

西武鉄道は、踏切内の事故防止と安全性向上のためシステムのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、最新AIや画像解析技術を導入した新しい2つのシステム導入試験を2021年12月より実施。今回、試験により安定稼働が確認されシステムの本格導入が実現する。同社は、システムを今回設置した3カ所以外にも導入することを発表しており、2022年度中にも新たに椎名町と鷺ノ宮の2つの踏切に導入するという。