NECは8月29日、量子コンピューティング技術を活用して超高速に大規模な組み合わせ最適化問題を解くことが可能なシミュレーテッドアニーリング(疑似量子アニーリング)サービス「NEC Vector Annealing サービス」のラインアップ拡充と機能強化を発表した。

同サービスは、同社が研究・開発を進めている量子アニーリング処理に適した独自開発のアルゴリズムを組み込んだソフトウェアを、大容量メモリで行列計算を行うベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」上で動作させ提供するクラウド型の疑似量子アニーリングサービスとなる。従来からPaaS(Platform as a Service)にて同サービスは提供されてきたが、利用にあたっては個別見積もりとなっていた。

  • NECが提供する量子コンピューティング関連のサービス

    NECが提供する量子コンピューティング関連のサービス

同社はより多くの企業や大学などに量子コンピューティング技術を活用してもらうべく、同サービスの定額利用を開始する。月額25万円から利用できる「スタンダードプラン」と、月額125万円から利用できる「プロフェッショナルプラン」の提供を2022年11月1日から開始する。

また、情報の持ち出しが難しいなど自社内で利用したい利用者向けに、オンプレミス型のソフトウェアライセンスの提供も2022年9月1日から開始する(SX-Aurora TSUBASAのハードウェアは含まれない)。

機能強化では処理能力を向上させており、大規模かつ複雑な問題にも対応可能となった。具体的には、従来比3倍となる30万ビットに規模を拡大したことで、従来は解くことが難しかった約500都市の巡回セールスマン問題でも高速に解くことが可能となっている。また、それぞれの組み合わせ最適化問題の制約条件に基づき、不要なアニーリング計算を削減するフリップオプション機能の強化など、アルゴリズムの改善により求解性能を従来比最大30倍に高速化したという。