onsemiが掲げる地球環境・社会課題への責務

onsemiは、2021年に企業のリブランドを実施。ロゴマークやホームページを一新した。その中で大きな変更点として、SDGsやサステナビリティに関するコンテンツ・メッセージをトップページに打ち出した点があるという。

同社はこの変更で、地球環境への貢献が重大なミッションとして掲げ、これについて大きく力を入れるという立場を明確にしている。そして林氏によれば、これは環境問題に限ったことではないという。

  • 社会課題への取り組みにおけるonsemiの受賞歴

    社会課題への取り組みにおけるonsemiの受賞歴(提供:onsemi)

女性の雇用拡大で業界の活性化を目指す

onsemiは、さまざまな社会課題についても、明確な目標値を定めて解決へと動いている。

その一例が女性の雇用で、同社は全世界で約3万3000人の従業員を抱得る中、うち45%が女性だという。林氏は「ほかの企業でさらに割合が高いところもあるとは思うが、テクノロジーを領域とする会社で45%というのは珍しいと捉えている」と話す。

特に日本の半導体業界では「女性人材の少なさ」が特に顕著だといい、林氏も「日本法人に限れば、まだまだ頑張らなくてはいけない」とする。

「いろいろな取り組みを行うことで、今までこの業界に興味がなかった方々を引き付けて、新たなイノベーションにつなげていきたい。女性や若い世代が半導体に携わることで、業界全体が活性化することを期待している。」(林氏)

「何のためにビジネスをしているのか」

これらの社会的課題に対する取り組みについて、「これらの取り組みを直接ビジネス面での成果に結び付けるのは難しく、また売り上げが何よりも重視されるのが自然ではある。しかし、『何のためにビジネスをしているのか』を考え課題意識を持つことで、会社全体として一体感や連携が生まれ、ポジティブな効果が得られると感じている」と語った林氏。

「業界全体として人不足が叫ばれており、我々も仲間の増員については積極的に取り組んでいる。我々の考えに賛同する方がやってきてくれることを願っている」とした。

  • onsemiが掲げる社会課題へのミッションについて力強く語る林孝浩氏

    onsemiが掲げる社会課題へのミッションについて力強く語る林孝浩氏

林氏がonsemiで実現する未来とは

林孝浩という1人の経営者は、onsemiの日本法人トップに就任した今、何を描き、何を実現したいと考えているのか。

「onsemiが持つテクノロジーは、これから変容していく社会の核になるものだと考えている。もちろん経営者としては年々売り上げを伸ばしていくことが重要で、2021年から2025年までの5年間で5~7%の年成長を遂げていくのが具体的な目標となる。

その実現に向けては、我々が製品を提供した日本企業の最終製品が高性能化し売り上げが向上することが重要。そしてさらにフィードバックを得ることでより良い製品を提供できるようになる、といった好循環が起こるのが最も望ましい形だ。

この好循環が生まれ日本の産業界が盛り上がるように、我々は質の高い製品の提供を通じて貢献していきたい。」

そう語る林氏は、社長としてonsemi日本法人をどのようにリードしていくのか。日本の半導体業界にも影響を与えるその手腕に、注目が集まる。