NTTデータは6月6日、脱炭素社会の実現に向け、液浸冷却方式を採用したデータセンター冷却システムを構築したと発表した。

同方式は、サーバなどのICT機器を特殊な液体の中で直接冷却する方式であり、従来の空気での冷却と比べ、エネルギー効率の高い次世代の方式として注目されている。

同社は2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成するという目標に対し、液浸冷却方式を採用し、協力企業9社とともに実機による検証を実施した。

液浸冷却は、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイルなど)に浸すことで、効率的な冷却を図る。同検証では、最も冷却効果が高いと言われる液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する「二相式」を採用している。

  • 液浸冷却システム概要

液浸冷却方式では高発熱サーバを密に配置できるため、空気を用いる従来の方式と比較して省スペースが可能となることや、一定の温度かつ密閉された環境で運用できることで故障率が低下すると言われているという。

検証では、三鷹データセンターEASTにおいて液浸冷却システムを構築し、冷却能力を最大限活用するためのパラメーター要因と、各機器の運転限界値を把握することで、冷却エネルギーの97%削減を実現するための運転条件を明らかにしたという。

今後は、検証によって有効性が確認された液浸冷却システムの積極的な活用に向け、自社データセンター内に液浸専用マシン室の構築を目標とするほか、2023年度中に社内システムへの導入を通して、早期のサービスモデル実現を図る。