リバーフィールド、KDDI、ソリトンシステムズの3社は6月6日、医療業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に向け、5Gスタンドアローン(5G SA)とMEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)環境を使用した遠隔医療の実証実験を、5月31日に実施したと発表した。

  • 実証実験の構成

今回の実証では、5G SA環境においてMEC上の映像中継サーバにより映像信号を分岐することで、複数のモニターへの低遅延映像伝送を実現した。これにより、執刀医に加えて別室・別拠点にいる熟練医や研修医などへの映像の同時配信が可能なことを確認したとのこと。

また、ソリトンシステムズの伝送装置とKDDIの5G SA環境およびMEC(AWS Wavelength)を組み合わせて、低遅延映像伝送を実現したという。これにより、有線ネットワークと同水準の高精細な映像を無線ネットワークで伝送可能であることを確認した。5G SAのエリアが広がることにより、場所にとらわれない指導が可能になるとしている。

  • ロボット操作と複数モニターへの低遅延映像伝送の様子

今回の実証の特徴として3社は、低遅延伝送 (映像・制御信号)、ネットワーク・スライシングによる安定通信、MECを用いた複数拠点への映像伝送の3点を挙げる。

低遅延伝送に関して、KDDIのデジタル開発拠点である「KDDI DIGITAL GATE」での検証では、ロボット遠隔操作に必要な映像信号・制御信号の伝送に5G SA環境とソリトンシステムズの低遅延プロトコルを実現する伝送装置(Zao-X)を組み合わせ、低遅延映像伝送を実現した。

安定通信については、5G SAの特徴であるネットワーク・スライシングの機能を活用し、同じネットワークで提供する他サービスの影響を受けにくい安定した通信を実現したという。複数拠点への映像伝送に関しては、MEC上の映像中継サーバにて映像信号を分岐することで、複数拠点への低遅延映像伝送を実現したとのことだ。

なお今回の実証において、リバーフィールドは手術支援ロボットの開発および提供を担当した。KDDIは、MECへの接続を含む5G SA環境の構築および提供を担った。ソリトンシステムズは、低遅延伝送プロトコル(映像および制御信号)、映像中継サーバの構築および提供を担当した。