このものづくり関連ニュースのまとめ
・シーメンスが設計から加工、測定、品質保証までをつなぐデジタルスレッドを展示
・SINUMERIK ONEとRun My Virtual Machineで工作機械とNCプログラムを仮想検証
・ヒューマノイドロボットと協働ロボットが介在する製造現場を想定した実演を1日2回実施
シーメンスは、10月26日から31日まで東京ビッグサイトで開催されている「JIMTOF 2026」に出展し、産業機械の設計・製造・運用をつなぐデジタルスレッドに関する展示を行っている。
「Digital Thread for Machine Engineering」をテーマに、工作機械を設計・製造するメーカー向けの「Digital Thread for Machine Builder」と、工作機械を使って製品を製造する企業向けの「Digital Thread for Machine User」といった複数の視点に基づく展示構成としている。
そうした同社の取り組みの基盤となるのが、産業用ソフトウェア、ハードウェア、クラウド、サービスなどを組み合わせる「Siemens Xcelerator」であり、製品設計から生産準備、積層造形、加工プログラムの作成、工作機械による加工、測定、品質管理まで、各工程で生成されるデータを連携させ、設計変更や製造現場から得られた情報を次の工程へ反映できる環境を提案している。
Siemens Xceleratorで設計から品質保証までを接続
製品設計には、CAD、CAM、CAEの機能を統合する「NX」を活用する。
「Designcenter NX」で作成した製品の3次元モデルを、「NX CAM」に引き継いで加工プログラムを作成。さらに「NX CMM」で、三次元測定機に使用する測定プログラムを作成する。設計、加工、測定の各工程で同じ製品データを参照することで、設計変更が発生した場合も関連する工程へ変更内容を反映しやすくする。
積層造形向けの「NX AM(Additive Manufacturing)」では、造形品の設計から、造形方向、サポート構造、造形準備までを支援しており、ブースでもNX AMを活用した造形サンプルが展示されている。
Simcenterで実機の挙動を事前に予測
設計した製品や生産設備の性能検証には「Simcenter」を活用する。
Simcenterによるシミュレーションでは、設計データを基に、実機を製作する前に構造、熱、流体、振動、機構などの挙動を評価できる。また、シミュレーションモデルを小型化・高速化した実行型デジタルツインとして、実際の装置や制御システムと組み合わせて利用することも可能となり、製造設備から取得したデータとシミュレーションモデルを比較することで、設備の状態や性能変化を把握し、制御や保守へ活用する。
シーメンスは、製品開発時のシミュレーションだけでなく、製造設備の稼働開始後もモデルを利用し続けることで、設計と運用をつなぐデジタルツインを提案している。
SINUMERIK ONEで工作機械を仮想空間へ再現
また、CNCシステム「SINUMERIK ONE」と関連するデジタルツインを備えたHeller ToknによるコンパクトなCNCマシンと「Run My Virtual Machine」を組み合わせた実機デモ展示も行われている。
Run My Virtual Machineは、SINUMERIK ONEの制御環境と工作機械の機械モデルを仮想空間上へ再現し、実機と同じNCプログラムを使って加工工程や機械の動作を検証するためのソリューションで、ブースでは、HellerのCNCマシンとSINUMERIK ONEの操作盤を並べる形で、実際の制御環境を含む工作機械デジタルツインの形で紹介されていた。
測定結果を次の加工へフィードバック
品質管理・検査としては、「NX CMM」と「DPV Manufacturing Inspection Management」を、Renishawの比較測定機「Equator」と合わせて紹介している。
NX CMMは、製品の3次元モデルを基に、三次元測定機で使う測定プログラムを作成・検証するためのソリューションで、DPV(Dimensional Planning and Validation) Manufacturing Inspection Managementは、測定機や検査装置から得た測定結果を収集・管理し、設計値に対する寸法のばらつきや品質傾向を可視化する品質管理ソリューションとなっている。
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Renishawの比較測定機「Equator」を活用した品質管理・検査の展示。測定結果をNX CMMやDPV Manufacturing Inspection Managementと連携し、加工工程の品質管理に活用する
Industrial Edgeで設備の状態を監視
工作機械や製造設備の稼働データを収集・処理する基盤として、「Industrial Edge」も展示している。
ブースでは、産業用エッジコンピュータ「SIMATIC Microbox PC」を展示。工作機械や製造設備から取得したデータを現場側で処理し、設備状態の監視や分析へ利用することに対するアピールを行っていた。
ヒューマノイドと協働ロボットによる実演
なお、同社のブースでは、ヒューマノイドロボットと協働ロボットを用いた特別デモを、会期中の毎日11時30分と14時の2回実施するとしている。
デモの内容は、製造現場における部品や箱の取り扱いなどを想定し、ヒューマノイドロボットと協働ロボットが同じ作業エリアで役割を分担するというもの。協働ロボットがワークや箱を扱う一方、ヒューマノイドロボットは人間向けに設計された作業場所や工具へ対応。異なる形態のロボットを組み合わせ、人とロボットが共存する製造現場の可能性を示す展示だという。
ただし、ロボットを製造現場へ導入するには、ロボット単体の動作だけでなく、工程設計、周辺設備との連携、制御、安全性、作業変更への対応などを検証する必要がある。シーメンスは、NX、Teamcenter、Simcenterなどを使ってロボットと製造環境を仮想空間へ再現し、作業内容と生産工程を事前に評価してから実際の設備へ展開する流れを提案している。
工作機械を作る側と使う側を共通データでつなぐ
シーメンスのJIMTOF 2026における展示は、Siemens Xceleratorを基盤に、製品と生産設備の設計から製造、運用までを継続的にデータでつなぎ、工作機械産業における開発期間の短縮、立ち上げ時のリスク低減、品質向上、自動化を支援する姿勢を示したもので、個々のCAD、CAM、CNC、測定機を紹介するだけでなく、工作機械を作る側と使う側をデジタルスレッドでつなぐことを主眼としたものと言えるだろう。






