キヤノンマーケティングジャパングループのスーパーストリームは5月23日、2023年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書保存方式)に対応した最新バージョン「SuperStream-NX 2022-06-01版」を6月1日から提供を開始すると明らかにした。同日には記者発表会が開催された。

請求書受領時の業務フローを見直す必要

同社は、会計・人事給与分野に特化した経営基盤ソリューションとしてSuperStream-NXを累計で1万110社(うち上場企業833社)に提供しており、最新版では来年10月1日から導入されるインボイス制度に標準機能で対応する。

インボイス制度は取引の正確な消費税額と適用税率を把握することを目的とした、請求書・納品書などの交付と保存に関する制度だ。ポイントとして、請求書への記載事項が増え、一定の事項が記載されていない請求書は仕入税額控除の対象外となり、的確請求書の発行は適格請求書発行事業者のみ交付が可能となっている。

制度開始後には、売手側(適格請求書発行事業者)は取引相手の求めに応じ、適格請求書(インボイス)の交付と写しを保存する義務が課されるほか、買手側は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として取引相手である登録事業者からインボイスを受領し、記載されている消費税額などを帳簿に記入するとともに、保存する必要がある。そのため、経理担当者は現行業務をどのようにインボイス制度に対応させるのかを検討する必要に迫られている。

  • インボイス制度の概要

    インボイス制度の概要

スーパーストリーム 企画開発本部 マーケティング部 部長の瀧頼子氏は、企業におけるインボイス制度への対応について「手間取っているのが現状。担当者の入力業務負荷軽減のため請求書受領時の業務フローを見直す必要がある。そのため、SuperStream-NXは統合会計(財務会計/管理会計、支払管理/経費精算管理、債権管理)と固定資産(固定資産管理、リース資産管理)を中心にインボイス制度に対応する」と話す。

  • スーパーストリーム 企画開発本部 マーケティング部 部長の瀧頼子氏

    スーパーストリーム 企画開発本部 マーケティング部 部長の瀧頼子氏

SuperStream-NX 2022-06-01版では、インボイス制度における売手側の機能として、取引先に対するインボイスの発行に対応。また、買手側の機能として、受領したインボイス(請求書、納品書、領収書など)の伝票入力処理や、伝票に紐づけた保存も可能となる。

また、免税事業者との取引における仕入税額控除への対応や、インボイスに記載されている消費税額を既存の業務を変更せずに入力するための支援機能なども用意。これらの機能により、経理担当者の業務負荷軽減をシステム面からサポートする。

  • SuperStream-NX 統合会計の対応機能

    SuperStream-NX 統合会計の対応機能

  • SuperStream-NX 固定資産管理の対応機能

    SuperStream-NX 固定資産管理の対応機能

顧客接点を強化

事業方針を説明したスーパーストリーム 代表取締役社長の村松昇氏は「ERP市場は年10%弱程度の成長率で拡大傾向にあり、クラウドへのシフトが進んでいる。調査データによると、ERP市場はオンプレは縮小し、クラウド時代になることが見込まれている。2021年度末に累計導入社数1万社を達成した。近年では大手企業も導入しており、80社超のパートナー企業とともに次のステージに向かう」と述べた。

  • スーパーストリーム 代表取締役社長の村松昇氏

    スーパーストリーム 代表取締役社長の村松昇氏

同社における2022年の戦略は短期的には、領域拡大や共創スキーム、顧客開拓をはじめとした「顧客接点の強化」、「クラウドシフト」、実績を横展開する「エンタープライズ」に取り組む。中期的にはインボイス対応、電子帳簿保存法などの「法改正対応」、自動化、AIといった「次世代NX」、個の力、ES(従業員満足度)、eNPS(Employee Net Promoter Score)などの「学習・挑戦する組織」を進めていく。

  • 2022年の戦略

    2022年の戦略

村松氏は顧客接点の強化について重点的に説明し「顧客の業務を面でとらえて価値提供の領域を広げる。一言で言えばBX(バックオフィスのデジタルトランスフォーメーション)の推進だ。デジタル化による効率化とトランスフォーメーションでの創造性の支援を行う」と強調した。

  • 顧客接点を強化していくという

    顧客接点を強化していくという

2023年早期には電子インボイスにも対応

製品戦略については、スーパーストリーム 取締役 企画開発本部 本部長の木下明彦氏が説明した。まず、同氏は「企業の経理を取り巻く環境の変化として、ESG経営など社会課題解決への要請や労働人口の減少に伴う企業生産性の向上、パンデミック対応のみならずESの向上をはじめとした働き方改革が挙げられる」と指摘。

  • スーパーストリーム 取締役 企画開発本部 本部長の木下明彦氏

    スーパーストリーム 取締役 企画開発本部 本部長の木下明彦氏

こうした変化に対し、同社では経営の効率化として、紙文化のデジタル化やタイムリーな法改正対応、AIといったトレンドの技術を採用したSuperStream-NXで企業におけるバックオフィス業務のDXを推進するという。

  • スーパーストリームでは企業の経理を取り巻く環境変化に対応する

    スーパーストリームでは企業の経理を取り巻く環境変化に対応する

ただ、法改正対応に関して同氏は「企業におけるインボイス制度への関心は高いものの、準備に対する検討が大変だという声を聴く。一方、電子帳簿保存法についても本来であれば今年1月の施行だったが、世の中の対応に不足があることから政府では2年間の延長措置を発表した。そのため他社に先駆けて製品をリリースしていく。インボイス制度施行後には2023年の早い段階で電子インボイスへの対応を計画している」と力を込めていた。

今後、年間500社への導入を計画しており、価格はSuperStream-NX 統合会計がBase User Licenceで500万円(5ユーザー、オンプレミスのライセンス定価)~、SuperStream-NX 固定資産管理が同400万円(同)~。